無限ワンアップ・改

さゆゆだよお

わかばとechoにご用心

「喫煙者は喫煙者でも、特に『わかば』と『echo』を吸ってるバンドマンには引っかかっちゃダメよ」と、昔に新宿のモーションというライブハウスで対バンしたお姉さんが教えてくれた。なんでも、その2つの銘柄は、他のタバコを作る際に生じたカスみたいな部分を集めて作られているものらしい。つまり、美味しくない。しかし、安い。普通の美味しいタバコより遥かに安く買えるタバコらしい。したがって、わかばやechoを吸っている人は、(よっぽどそのマズイ味が好きとかでない限り)普通の美味しいタバコを買う金が無いと考えるのが妥当だ。じゃあ吸わなきゃいいのに、ニコチン中毒だからタバコをやめられなくて、たとえマズくても安いのなら、と手が伸びる……

……みたいなカラクリ。お姉さんは「わかばかechoを吸ってるバンドマンは大抵貧乏だよ。付き合うなら、気をつけなね」と私にアドバイスをくれたのだった。その話を聞いてから、人の吸ってるタバコの銘柄に興味をもつようになった。喫煙者の友達に「わかばとかエコーって、吸ったことある? 美味しい?」としばしば尋ねてみると、「ゲロマズい」「アレを美味いと思うやつは味覚が狂ってる」などと散々な感想が返ってきた。興味本位でそれらを吸ってみたことがあるという人は結構いるのかもしれない。

大学の先輩の影響で、私もタバコを吸っていた時期がある。煙を肺まで入れずに、キャスターの甘さとか、メンソールの香りとか、そういうのだけちょっと味わってすぐ吐き出す。いわゆるファッション喫煙だ。タバコの箱とライターを小さなポーチに入れて、お守りみたいに持ち歩いていた。ナイフでも隠し持ってる気分だった。これがあれば私は大丈夫だと思っていた。喫煙所に行く先輩たちの仲間入りできたみたいで嬉しかった。喫煙所でしか出てこないような秘密の話題があると思っていた。他にも嫌なことがあったら吸って、今私はタバコを吸っているという事実に浸った。先っぽから少しずつ燃えて、灰になった部分をトントンとして落とす動作が好きだった。

 

久しぶりに買ってみようかなあ、タバコ