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無限ワンアップ・改

さゆゆだよお

弱いまま開かれた世界へ

8年通った大学を3月で退学する。そのうち2年間は休学していたから実質通ったのは6年だが。

 

「大卒」の二文字が強いのは知っていた。強いっていうのは、就職とかにおいてだ。だから大学を卒業したかった。「大卒」という勲章が欲しかった。入学したからには卒業したかった。「時間かかってでも卒業しなよ」と言ってくれる人もたくさんいた。それに、私にとって「大卒」は、がんばったという印でもあった。高卒や中卒でもめちゃくちゃにカッコよく生きている人はたくさん知っているから、決して大卒をもてはやしているわけではない。それでも、私がこれから生きていくうえで、今どうしても乗り越えたい壁だった。がんばって受験して合格できた18歳の自分に顔向けできない。

授業に行こうにも、体はいうことをきかない。家を出られない。秋冬を迎えてそれほますます悪化した。生きることで精いっぱいだった。

卒業したかった。確かに、卒業したいと思っていた。私もちゃんとがんばれるんだよと私自身に証明してあげたかった。だけどもうがんばるのに疲れてしまった。8年かかって、さすがに笑っちゃうくらい疲れてしまった。自分が大嫌いになって、落ち込んで、とうとう大好きだった音楽も楽しくなくなるくらい疲れてしまった。それに、「大卒」という勲章にもさほど魅力を感じなくなっていた。視野を広げたら、なんであんなにこだわってがんばってたのかもよくわからなくなってしまった。思うようにいかず、つらくて、苦しんで苦しんだ8年の体験を通して、もう「大卒」以上の大きな何かを得たような気がしていた。

大学1年生の18歳だった私は26歳になった。

大学で学んだ大きなことは、「私は大学生に向いていなかった」という事実だった。

 

卒業のために協力してくれた人たちに頭を下げて、大きな挫折と敗北を喫して、上京から8年住んだ部屋を3月に引き払って4月から富山に帰る。もう、お腹いっぱいになった。東京の街も、東京の人も、みんな眩しかった。いい加減、おとなになる時間だ。私の好きな漫画に「まわり道にはまわり道にしか咲いてない花がある」というセリフがある。ハンパじゃないルートのまわり道を歩いたら、確かにそんな花はたくさん咲いていたように思う。たぶん、普通の道には咲いてない花が。きれいじゃなくても、尊い、たくさんの花が。宇宙から見たら私なんてちっぽけでどうでもいいサイズの存在だけど、それでも死なない限りはちゃんと生きていかなきゃいけない。普通未満でも、平均点いかなくても。たぶんもうドアはひらいている。さあ足枷にさよなら、振り向くことなかれ。まわり道に咲いていた花をしっかり目に焼きつけて、弱くとも、私は歩いていかなけらばならない。