無限ワンアップ・改

さゆゆだよお

2017年春の読書記録

春に読んだ本の感想などまとめ。1〜3月は読書どころではなかったので主に4月5月に読んだものたち。画像は自分撮影だったりアマゾンから拾ったり

 

目次
★さよなら、ニルヴァーナ / 窪美澄
★殺人出産 / 村田沙耶香
★ブルーシート / 飴屋法水
★すみなれたからだで / 窪美澄
★スクラップ・アンド・ビルド / 羽田圭介
★A / 中村文則
★ひらいて / 綿矢りさ
★殺戮にいたる病 / 我孫子武丸
華氏451度 / レイ・ブラッドベリ
君の膵臓をたべたい / 住野よる
★ジニのパズル / 崔実
ハサミ男 / 殊能将之

 

■さよなら、ニルヴァーナ / 窪美澄

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この人の本わりと好きかも、と思って、読めるやつから順に読んでいる。これはたぶん神戸連続児童殺傷事件の「少年A」が題材になってるんだと思う。少年を追う作家・少年を崇拝して聖地巡礼する少女・被害者児童の母親の3人の視点から物語が進む。重い。少女が被害者児童の母親と出会って少年のもとへ向かうあたりから、すごく引き込まれて時間を忘れて夜中まで読んでしまった、けどラストで失速したというか、オチが、というかこの話が結局どういうことなのかがよくわからなかった。人間の描写は本当にすごい、というかそこがこの人の本の好きなところ。

 

■殺人出産 / 村田沙耶香

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某作家のおすすめで知ったのと、去年に芥川賞とった「コンビニ人間」で名前を知ったので読んでみた。短編集。表題作は「10人産んだら1人殺してもいい」っていうぶっ飛んだ制度が設けられた日本の話。そのほかも、ぶっ飛んだ設定の話ばっかだった。たぶんそういうコンセプトの短編集なんだと思う。当たり前のことをぐるっと裏返してみるというか。サクサクっと短時間で読めたし普通に人に勧めたい。あとコンビニ人間も読みたい。

 

■ブルーシート / 飴屋法水

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戯曲。戯曲っていうのは演劇の台本(私は大学入るまで戯曲という言葉自体を知らなかった)。岸田國士戯曲賞とってたのと、私の周りのアート関係の人たちで上演が絶賛の声が多くて、読んでみた。実際に東日本大震災に見舞われた10人の高校生が役者をやって、学校の校庭で上演したらしい。読んでみて思ったのは、たぶん戯曲という文芸は、読み物として楽しめるものとそうではないものに二分できるとしたらこのブルーシートは後者だってことだった。戯曲を読んで、上演めちゃ観たかったな、とこんなに思ったの初めてかも。でも私ごときが感想述べちゃいけないのかもしれないとも思う、そういう濃度を感じた。

 

■すみなれたからだで / 窪美澄

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これも「窪美澄の本を読むぞ」と思って読んだ。普通に読みやすい短編集だった。いくつか好きな話もあった。でも、この人の本は連作短編か長編のほうがずっしり重たくて気持ちいい気がする。

 

■スクラップ・アンド・ビルド / 羽田圭介

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又吉の「火花」と一緒に芥川賞とったやつ。それまで全く存じ上げなかったけど、又吉の受賞で芥川賞がワッと話題になったときに便乗してテレビにめちゃ出てて、変な人だなあ〜と思ってた。作品まったく知らないのにお人柄ばっかり先行してしまうという面白い事態。読んでみたらやっぱり変な話だった。簡潔にいうと、青年と死にたがりの祖父とのおかしな関係を描いた話、なんだけど、私がこの本から感じたのは「筋トレに対する信仰」だった。ご本人が筋トレマニア(?)というのを事前にテレビで見ていたからだと思う……

 

■A / 中村文則

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この人の「教団X」を読みたかったんだけど図書館で予約30人待ちとかだったから諦めてテキトーに手にとった短編集。結論からいうと私には早すぎる感じだった。振り幅が大きくて。部屋でボール3つが動いてるだけの話とかあった。ウワ〜〜〜こういうのを純文学と呼ぶのか???と思った。何年かしたら読み返したい。あと相変わらず教団Xも読みたい。

 

■ひらいて / 綿矢りさ

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綿矢りさの、何の本だったか忘れたけど、「うわ怖っ」て思った瞬間が何回もあって、どういう怖さかというとホラー的なあれじゃなくて人間って怖いよねみたいな怖さで、私はこの人に対して「怖い話を書く人」というイメージがある。この本も、青春小説なんだけどちょっと怖かった。主人公の女の子がどうしようもなく好きなクラスメートの男子には彼女がいて、彼のことを振り向かせたいあまりに主人公はその彼女と寝る。みたいな。どうしてそうなる。

 

■殺戮にいたる病 / 我孫子武丸

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「小説 どんでん返し」とかで検索したら大抵出てくるから気になって読んだ。結論からいうとマジの最高だった。叙述トリックって映像化するのは難しくてつまり文章という表現ならではの楽しみで、私は叙述トリックだとか終盤にどんでん返しだとかそういう本が大好きなんだけど、その観点からいえばもう本当に本当に最高だった。「叙述トリックの話」という先入観をもって読んだけど何がおかしいのかまったくわからなくて、最後のページでああああああああ!!!となった。人殺しの描写は結構グロいし、犯人の思想がガチのサイコパスで意味不明だし、殺害シーンのたびに流れる岡村孝子の「夢をあきらめないで」にはとんでもないマイナスイメージがつく。けどそれを差し引いても最高だった。よくできてる。

 

華氏451度 / レイ・ブラッドベリ

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外国の小説をあんまり進んで読もうとしないけど、文庫だし行間広いし装丁も新しいっぽいしこれなら読めるかなと思って。読んでみたら、めちゃ面白かった。本の所持が違法になった世界で、本を燃やす仕事をしてる主人公が世界のおかしさに気づいて、本を読んでしまって……みたいな話。ディストピア。たぶんもともと詩的な文体なんだと思うけど、訳がよかったのか、その中でもハッとさせられる文章がたくさんあった。この世界の人たちはテレビとラジオに心奪われてて、自分で思考することを忘れてしまったせいで記憶力とかも著しく低下させられているけど、(散々指摘されてるみたいだけど)このテレビとラジオをインターネットに置き換えたのが現代なのかもしれない。ブラッドベリもそういう世の中に警告をこめてこれ書いたらしいけど、1953年に書かれたとは思えないくらい、全然古くなくて、現代に共通することたくさんあった。もし現代でも、本、取り締まられたら嫌だなあ。

 

君の膵臓をたべたい / 住野よる

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どの本屋に行っても平積みされとるなあ、と半年前くらいからずっと気になってたら、あれよあれよとベストセラーそしてコミカライズに映画化。そろそろ読まなきゃ!と思ったタイミングで本屋行ったらなんと文庫化していたので購入。1行目から人が死んでた。「人が死ぬラブストーリー」ってカテゴライズおよび先入観はすごく不健康だと思うけど、正直最初はちょっと斜にかまえて読んじゃった。これは、ラブストーリーっぽいけど違うような気がする。恋愛の定義ってどういうものなのかわからないけど「相手を知りたい」ひいては「君になりたい」と思い合う関係の尊さにこみ上げるものがあり、泣けるという触れ込みのとおり、終盤、というかこのタイトルに迫る部分でちょっと泣いた。あと読み終わって表紙を見たらまたこみ上げるものがあった。映画は観ないつもり。

 

■ジニのパズル / 崔実(チェシル)

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コンビニ人間」受賞のときの回の芥川賞候補になってたのと、本屋でわりと見かけるので読んでみた。めちゃよかった。パワーがすごい。これ芥川賞とってたらちょっと日本変わると思う、そのくらいの力をもった話だと私は感じた。在日朝鮮人のジニという女の子の話。青春小説なんだけど、宇多田ヒカルテポドン金正日が同じテンションで出てくる。小説に限らずだけど、「これを伝えたいんだ」ってボディブローのように迫ってくる作品に触れたときって、心が震えて、創作意欲も刺激されて、最後には「ありがとう」みたいな気持ちになるけど、今回本当にそれだった。圧倒された。読めてよかった。ジニのことを抱きしめたいし、私もがんばって生きていこうと思った。この崔実さんはこれがデビュー作だそうなんだけど、またこの人の本を絶対に読みたい。

 

ハサミ男 / 殊能将之

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これも「どんでん返し」系の本だといろんなところで勧められたので読んだ。そういう先入観をもって読んだからだろうけど、ずっと違和感があって、叙述トリックはネタばらし前にわかってしまった!もったいない、何も知らずに読むべきだったー。でもそれ抜きにしても、よくできたミステリーで、真犯人は最後までわからなかったし、読みごたえもあった。この人もう亡くなってるのが残念だ。