無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

これから死ぬまで疎遠でいよう

歯の痛みが止まらないのに不幸にも自宅に鎮痛剤がなくて、諸事情により飲めるまで最低でもあと大体90分あってもう耐えられないから気を紛らわすために久しぶりに長い文章を書きます。
こないだ母が会社の旅行で行ってきたおそらく長野らへんのお土産のりんごハイチュウを食べていたら古い歯の詰め物が取れた(そのぐらい予想できることだったのに定期的にくる「ハイチュウ欲」に負けた)。取れたものはいつ詰めたかも忘れたくらい古かった。金属なのにところどころ削れていた。それで仕方なく何年ぶりかに歯医者に行った。先生が森本レオみたいで優しい、中学生の時からかかりつけの地元の歯医者だった。そしたら、診てもらった結果なんかめっちゃ虫歯あることが判明した。嘘やんけと思った。先生は森本レオの口調(ショムニの課長)で悲しい宣告をして私の心をバキバキに折った。結構ショックだった。これからの治療の日々を思ってどんよりと気が重くなった。
歯医者行く前は「歯医者怖いなあ」と思い、歯医者で処置されてる最中は視界の端にきらきら光る器具をとらえては「歯医者ってやっぱり怖いなあ」と思い、歯医者を出たあと「歯医者怖かったなあ」と思った。つまるところ終始怖かった。私は、漠然と、大人になったら歯医者は怖くなくなるものだと思っていた。だからその理屈でいくとその日27歳の私はまだ大人ではないということだった。絶望。
明日の通院では(予定では)1か所だけ神経を抜く。昨日までは歯医者行くの嫌だな〜と思っていた、それなのに今朝からの歯の痛みが歯医者の怖さを余裕で上回ったため一刻も早くどうにかしたくて心から歯医者を求めている自分に気づいた。痛い。4錠出されていた鎮痛剤はもう飲みきっている。痛い。私は無力です、だから医療の力で助けてください。麻酔バンバン打って、きらきらの尖った器具で病んだ歯を容赦なく削ってください。助けてください。お願いします。今この瞬間は、歯医者を怖いとは思ってない。だってそれどころじゃないから。歯医者は救済の施設へと姿を変えた。そして通院日は、何本もある虫歯をすべて根絶するゴールまでの大切なセーブポイントだ。医療機関って本来そういうもんかもしれない。助けてくれるのに怖がったりしてごめんなさい。痛い。

 

それで、痛くて、どっかにバファリンでもなかったもんかよと家中を探していると、部屋から抗精神薬がたくさん出てきた。ウワァと声が出た。そういえば持ってたんだった。私はこないだ精神病棟に入院していてその原因のひとつには薬物の乱用があって、まあいろいろじゅうぶん懲りたし、もう変な気を起こすことはないつもりではいるけど、でも、これは今すぐに処分しようと思った。それも絶対に取り返しのつかない形で。今すぐに。
インスタ映えを狙って家の裏の畑で燃やそうと思ったけど火の扱いが面倒だったしダイオキシンとか出たら嫌だし(よく知らんけど)、歯の痛みをごまかすための散歩も兼ねて、近所のダムに葬ることにした。薬のシートをパキパキ割って細かくして、輪ゴムで大きめの小石にくくった。小石は全部で4個になった。それを1個ずつ湖面に向かってブン投げた。好きな漫画の好きなキャラクターが、すごく口が悪くて、バトルとか物を投げるときとかに「死ね」と言って投げるから(かけ声?)、私も真似して死ねと念じながら投げた。死ね×4回。助走までつけてガチの全力で遠投したのに私には肩の筋力が足りていなかったらしく、湖面まで到達してチャプンと沈んだのを確認できたのは1個だけであとの3個は手前の崖の木の茂みの中に落ちた。それでも心がスッキリした。深緑色を眺めていたらすがすがしくも穏やかな気持ちになって、ちょっと涙ぐんだ。ダムなんか見ながら勝手にひとりでエモかった。あばよ薬物乱用、うちらこれから死ぬまで疎遠でいような。
そしてエモさが去り冷静になり、ダムはゴミ箱ではないという当たり前すぎる事実を思った。今日は祖父の82歳の誕生日なのに、じいちゃんごめんね、孫はお見舞いにも行かず仕事もせず全身全霊でポイ捨てをしています。一族の汚点です。立派な不良になりました。私生きるからじいちゃんも長生きしてください。

 

こないだは遠距離恋愛中の恋人が富山まで会いにきてくれた。遠距離になってから、彼がこっちに来るのは初めてだった。嬉しかった。ずっと楽しみにしていた。それなのに残念ながら彼は雨男で、こっちに来る日だけピンポイントで雨天、ひいては荒天だったため、さすがに富山市の上空(と彼)にキレた。
生まれ育った土地の風景に東京で出会った人が写り込んでいるのはエラーみたいで終始かなり変な気分だった、不思議な体験。私はそれまではあんまり彼の写真を撮ることはしなかったけど、エラーみたいな風景がどうしても面白く見えて、ここぞとばかりに携帯でたくさん写メを撮った。
私は基本的に富山が好きだと思う。でも、何もない。東京にないものはいろいろあるけど、それでも東京に比べたら圧倒的に何もない。東京で8年暮らしてこっちに帰ってきてやっぱりなんとなくそう思った。つまらん土地やろ?と彼に尋ねると「東京と違って空気おいしい」と都会の人っぽいフォローをくれた。口下手な人だからアレだけど、やっぱりちょっと申し訳ない気持ちになった。
前述の通り私はこないだ入院してて、そのことについて入院から退院まで家族しか知らないような詳しいことをスタバで説明した。私にとって今回会う目的の中の1つだった。テーブルのマンゴーなんちゃらフラペチーノから視線をあげたら、彼はめったに見たことない怖い顔をしていて、ハッとした。私はこの人に馬鹿でかい心配をかけていたんだということをその時はじめて本当に知った。遠距離恋愛といえども、そんなこと顔を合わせて話さなくてもわかってるべきだった。感謝と申し訳なさが一瞬で超絶怒涛にブワーッとこみ上げてきてその場で乳幼児みたいにビャービャー泣きたくなった。でも、こんなところ(スタバ)で・男女が話してて・しかも女のほうが泣いてたら、はたから見たら絶対100パー別れ話なうの図やんけと思って、そこは理性とプライドでこらえた。冗談で、どや、そろそろ私のこと嫌になった?と尋ねると「嫌になってたら今日わざわざ富山まで来てない」と即答された。Q.E.D.証明終了!なんていうかこの人はマジのアホもしくはマジの聖人だったんだなと涙をこらえながら思った。どっちでもいい、でもマジのアホのほうならずっと正気に戻らないでほしいし、マジの聖人のほうなら私も聖人レベルをもうちょい上げるまで待っててほしい。もうどっちでもいいや。
それから魚などの美味しいものをたらふく食べたり、高校生がたむろするゲーセンで遊んだりして、彼は雨風の中バスに乗って東京に帰っていった。私はバスを見送ったあと駅ビルで少し時間をつぶしてから、1時間に1本の電車に乗っていつもの無人で無改札の最寄駅に帰った。帰宅して、彼がお土産にくれた東京バナナジェネリックみたいなやつの箱を出すと、私が許可する前に父が嬉しそうに包装を派手にビリビリ破いてアメリカンな感じに開封した。我が家に常備されているお菓子はたいてい柿ピーと蒟蒻畑しかなくて、だから東京バナナジェネリックは我が家にはすごい高級品っぽかった。家族にも好評で、美味しかった。
何気なくカメラロールの画像を見返したら、撮ったやつ全部が見事に曇り空でウケた。そして彼が東京に戻った途端に晴れてきた富山市上空(と彼)に再度キレた。体重は2キロ増えていた。

 

あ、無事さっきイブクイックを入手しました。でも長い文章書いてたら歯の痛みちょっとおさまってきた。すごい、ブログセラピーワンチャンあるくさい。できたらこのまま痛みフェードアウトしてください。