無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

わっこさんのこと

今年の7月24日、「わっこ」のライブを観に吉祥寺Warpというライブハウスに行った。その日はデートの予定だったけど、どうしても、岐阜県からこの日わざわざ東京にくるわっこさんの出演時間だけでも観に行かせてほしいと相手に頼みこみ、抜け出してWarpに向かった。

 

わっこさんは、男のシンガーソングライターだ。2013年、吉祥寺Warpでの対バンで知り合って、その後も何度か対バンした。自主企画にも出てもらったことがある。みんな辞めてく中で、ずっと続けてて、先を明るく照らしてくれるひとりだった。わたしは普段めったに同業者のこと褒めないけど、わっこさんのことは、マジすごいんだよって手放しで褒められる。そしてあんなふうになりたいなって初めて観た日からずっと思っている。照れるから言わんかったけど。

それから、たぶん2014年頃、確か新宿のMotionというハコで一緒になった日、わっこさんに「あのギターの弾き方、どうやってるんですか。コツ教えてくださいよ」と奏法に関して質問したら、「親指でルートしっかり弾いて、ズンチャ、ズンチャ、って感じ」と、ある程度はコツを教えてくれたところで「YouTubeとかで高田渡の動画見るといいよ。おれ高田渡パクってるから」とYouTubeに丸投げして飄々とその場を終わらされた。テキトーな人だ。(たぶん覚えとらんやろな〜 笑)

それで、わたしの持ち曲には、(高田渡ではなく)わっこさんの曲をパクって作ったものが3曲くらいある。伝えてないけど…

わっこさんはギターがうまい。とにかくうまいのだ。どうなってるんだ?と思う。「シンガーソングライター」と呼ぶより「ギタリスト」と呼んだほうがいいか?ってくらい、うまい。東京のライブハウスシーンで私の知ってる男性シンガーの中で、いちばんギターがうまい(もっとも、今わっこさんは東京を離れたから「東京のライブハウスシーン」なんて乱暴な言い方は良くないんだろう)。ギターがうまいっていうのはどういうことなのかは、人それぞれだろうけど。私のものさしで測れば、とにかくわっこさんはとてもギターがうまい。そういえば、もう退職された下北沢ベースメントバーの下石さんという当時の店長は「あいつは、ジャズとかの理論をさらってるらしい」とおっしゃっていた。たしかにそんな感じがする。あと、わっこさんは佇まいが抜群に格好いい。ギター持って立ってるだけで絵になる。佇まいっていうのは、わっこさんのルックスがどうという話ではなく、ギターをかまえる高さとか、ネックの握りかたとか、客席を見つめるまなざしとか。で、じゃらんと1つコードを鳴らすだけで、アッこの人絶対ギターうまいんだなって思う。そんで、そのギターが、歌とメチャクチャ合う。歌の邪魔をしないけど、歌が引っ込んでるところではギターが超歌ってるのだ。これはすごいよ。本当にすごい。最近だとこの曲が好き→白昼高速 弾き語りversion/ わっこ - YouTube ギターの音の優しさに泣いてしまう。

2016年にはワンマンにも行った。渋谷の坂の途中にある、入口がわかりづらいライブバーだった。開演間に合わなそうで焦った。とても小さなバーだった。入ったら、「不屈の卑屈」のボーカルの折笠くんと「神々のゴライコーズ」のギターのパンサーがいたなあ。折笠くんは絵(たしか日本画)を描く人なんだけど、彼の絵から生まれた「画」っていう曲をその日わっこさん演奏していて、それのコードワークが意味不明なのにめちゃ美しくて、どうなってんだ?と思った記憶がある。

 

デートの予定を抜けてWarpに向かった7月のその日、Warpはバンドばかり出演していたみたいで、その日のトリがわっこさんだった。「ソロですけど…」みたいなことをMCで話していた気がするけど、久しぶりに観たわっこさんは、やっぱりギターがメチャクチャうまかった。バンドだとかソロだとかそういう、形態で比較するのはナンセンスだとは思うけど、それでもその日のわっこさんは「バンドに負けてなかった」。知ってる曲ばっかりの中で、初めて聴いた「出囃子」という曲がべらぼうに格好よかった。わっこ「出囃子」 2018年5月24日吉祥寺WARP - YouTube わっこさんは落語が好きらしいから、その影響があるのかもしれない。力強いコードストロークのバッキングで、その曲は終わりがけのところで口上(って言うのかな?)を早口でまくしたてるところがあってそれがとっても格好よくて、この人、ただでさえ手が届かないのにさらに格好よさを更新しててヤバイと思った。強い、絶対に勝てないと思った。わたしもやらなきゃと思った。拍手喝采の中ステージを降りたわっこさんに、ろくに挨拶もせずにとりあえず差し入れの「蒸気でホットアイマスク」だけ渡して、足早にデートに戻った。(もっと他に良い差し入れあったじゃろー)

 

そんなわっこさんが、直腸癌を患ったそうだ。Twitterでご本人の報告を見たときはびっくりした(前述のWarpのライブからそんなに時間が経っていなかったこともあり)。

東京を離れて岐阜に移り、いろいろ考えてたこともあるのではないかと思う。そんで、さぁこれから、というところだったのではないかと思う。直接お話ししたわけではないのだけど。

ほかのブログでも書かれてる方がいたけど、このようなきっかけで作品が広まっていくのは、ご本人としては不本意なのかもしれない。でもわたしは「まだまだバズれ!バズれ!」と思ってる。不謹慎だったらごめんなさい。でもいい曲たくさんあるもん。「あのアーティストも、あのアーティストも言及してる、わっこというのは何者なんだ?」って興味もって聴いてくれる人いたら、あとはもう、聴いてもらえれば絶対刺さるやろ。ていうか、わっこさんの歌とギターに何も思わんやつは不感症やろ。

初めて対バンした日から何回も聴いてる「29」という曲。スリーフィンガーのカントリー調で、テンポ早くて、技巧ヤベエ〜と思う曲。その29っていう数字は29歳の29らしい。実はわたし来年29なんですよ、! ライブやり始めた頃は23だったのに!

各地で、わっこさんを応援するイベントが開催されている。今日は吉祥寺Warpで開催されて、さらにこのあと下北沢ベースメントバーでも開催されるらしい。もちろん有志みたいだ。みんなわっこさんのこと、どんだけ好きなんだと思う。たくさんあぶり出されてくる。わたしだったらこんなにいない。わっこさんやっぱすごいと思う。そしてわたしも好きだし。今回は帰省と重なってしまったけど、Warpのほうには出演させてもらいたいくらいだったわ!でもとにかく、わたしイベントの現場にはおらずとも、応援してますって伝えたくて、このブログ書いた。

ていうか、わっこさんの銀行口座番号を教えてもらえたら、イベントのチケット代程度でもよければ振り込みたいくらいなんだけど…イベント行けんかったし…笑

 

ステージから学びたいことがまだまだあります。わっこさん。わたしまだまだ道の途中ですわ。馴れ合いではなく本当に尊敬しています。ゆっくりゆっくりでいいから元気になって、絶対にまた格好いいギターと歌をみせてくださいね!