無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

読んだ本メモ

◆星の子 / 今村夏子(2017)

メチャクチャ面白かった。メチャクチャ好きなやつだった。この人の本は、すごい。なんというか、まず、文章がすごく読みやすい。みんなが薄々知っているけど正面切って向き合おうとしてない世界のことを、平易な言葉でひょうひょうと描いている感じ。前読んだ「こちらあみ子」もすごい良かったけど。これは両親があやしい宗教にハマってしまった女の子の話。当たり前のものとして受け入れていたり、でも友達や先生に見られるのは恥ずかしかったり。このあと絶対に不穏なことが起こりそうだなって予感を残して終わる。続きが読みたいな。

 

◆迷宮 / 中村文則(2012)

文学というよりは、なんか、「謎解き」としてすごい好きなやつだった。事件現場の画のパンチもすごい。折り鶴事件という大きな過去の未解決事件をとおして主人公が自分の中の狂気に狂っていく話。だんだん事実が明らかになるのが気持ちよくて、やっぱミステリ的な物語好きだ…。イマジナリーフレンドって誰でも子供の頃は持っているのかな。自分にしか見えない、自分に語りかけてくる架空の存在。自分にとってはもはや架空ではない。自分が担当しないほうのもうひとりの自分。人を殺していないことのほうが不自然に感じた人が人殺しになるのかな

 

◆私の消滅 / 中村文則(2016)

あー精神医療っていうものはけっこうやばいんだな。これは自分の人生を他人に"流し込む"という話だなと思った。怖かった。出てきた人が全員狂ってたように感じた。ひとりの人に他人の人生を体験させることができてしまうのメチャ怖い。それで他人を犯したり、逆に誰かの人生を意図的に自分に流し込むということは、代償としてそれまでをきれいさっぱり失うってことで。「脳はその人そのものだ」みたいな文が印象的だった。没入して読んでると自分もヤバくなってく感じがある。

 

◆何もかも憂鬱な夜に / 中村文則(2009)

よかった。しかも、なんか、漠然と良いのではなく、「このあたりのページが良い」みたいなわかりやすく明確にわかりやすい良さの場面があって何回もそこをひらいて読み返すことができる優れた、お気に入りの部分になると思った。なんでこの人の本、わたしのことこんなに描いてるんだ?と思うくらい、この人の本は"既視感"が何度も何度も何度も何度も過ぎる。既視感。これ知ってる。この本は特にだった。すごい良かった。なんていうか、これまでの歴史の中のほかの文学やら小説やらでさんざん書かれていることがこの本に書いてあるのかもしれないとは思った。それでも、いいなぁと思った。ずっと読もう読もうと思ってたから、やっと読めて心がスッとした(to do的な意味)のもあるけど、読んでよかった。周囲のいろんな人がこの本に影響受けてそうな気がする。

 

◆賢者の愛 / 山田詠美(2015)

40歳くらいの女の人が、親友の息子を、生まれる前から25歳まで自分のものにしてしまうみたいな話。性的に犯すとかじゃなくもっと根本から10年単位で犯す。でも親友もヤバイ女で、、、いいなぁ〜もっとこういうの読みたいな。人間の歪んだ望みを暴いてくれる本。女のもつ女特有の嫌な側面がすごい、わかる。なんなんだろうこれ。最後がホラーっぽい。ホラーではない。

 

ハリガネムシ / 吉村萬壱(2003)

人間ってこんなにコロッと堕落するの。四国のほう行ってみたいなー

 

◆祐介 / 尾崎世界観(2016)

「本日返却された資料」の棚にあったから図書館で借りた。装丁、目がチカチカする。この人、すごい純文学の人なんだなあって思った。個人的にはライブハウスや音楽活動の場面が特にしんどい。2010年代というか今の時代だったら、アート表現の、代表というか、"時代の旗手"はこの人だろう。この人にしか書けない小説なんだろうな思う。これを読んで安心したり気持ちよくなりたい人がたくさんいるんだろうな。クライマックスのとこ(ブルマのとこ)、ギャグ的な意味でメチャ面白かったんだけど、本人的には切実な場面なんかな。メチャ面白かったんだけど。ギャグ的な意味で。

 

◆悪意の手記 / 中村文則(2005)

人を殺してしまった! そのことに向き合うのがつらいので自殺したい! いやいやいや! みたいな話。暗い。ラストは希望なんだと思いたい。

 

去年の冬、きみと別れ / 中村文則(2013)

ええ〜〜そんなんアリかよ〜〜。うーん………という感じ。ちょっと前に映画になってたけどこれ映像化不可能じゃないのか?

 

◆アマニタ・パンセリナ / 中島らも(1995)

ちょーーーー面白かった。幻覚サボテンを輪切りにして天日干しするのに育ててたサボテンに愛着湧いちゃって食べれん、というエピソードかなり笑った。LSDの章も面白かった。この人の弱さ…わたしに似てるかも。それで死んじゃったのかな。人はなぜドラッグをやってしまうのかという問いは「気持ちいいから」だって。あと、酒は、酒は決して悪い奴ではない、悪い奴ではなくて。でも依存になる人っていうのは、酒との付き合い方を誤っただけなんだって。ああ、この人、52で死ぬべくして死んだんだろうなって気がしてきた。

 

◆十二人の死にたい子どもたち / 冲方丁(2016)

面白かったー!なんか動機とかトリックが完全に理解しきれてないまま終わったけど。12人ともキャラ立っててわかりやすい。マイが好きだ。映画化されるの、公開されたら観ようかなあ。

 

◆ヤイトスエッド / 吉村萬壱(2009)

人間が人間のうんこを食べる(性癖として)  という場面がある小説をはじめて読んだ。変な女性がたくさん出てくる短編集だった。とても純文学(?)だった。ところどころ、ギャグ的に面白い。いや笑っていいのかわからんけど…