無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

2022年よかった本5冊ね

心に残ったものを5冊。今年の「お気持ち表明」

オビ着きの画像を探してみました

 

 

①「愛されなくても別に」武田綾乃講談社.2020)

 

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エモ。読みたかったのはまさにこういうやつ。これだよこれ。この人の小説いくつか読んで、全部よかったけど、その中でこれが一番よかった。

私は「女と女が出会って何かワチャワチャする話」が大好き(でも【百合】というタグ付けにはちょっと嫌悪感がある。この話は大変めんどくさい。自分が女であることと関係していると思うけどその辺りの線引きは難しいね。百合はピンとこないけど「女・ミーツ・女」は好き、この言葉がしっくりくる)(それを百合と呼ぶ人もいるかもしれないけどよくわからん)。ガールとガールが出会う。途中に出てくる、とあるガールも強烈。高校生の頃に読んだ、あさのあつこ「ガールズ・ブルー」のテンション…。良い。すごく幸せ。最高。ありがとうマジで。でもこれかなり鬱なテーマよな。でもすごく好き。でも……という感じ

 

 

 

②「みんな水の中 「発達障害自助グループの文学研究者はどんな世界に棲んでいるか」横道誠(医学書院.2021)

 

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全人類、読んでほし〜ね

『文学や芸術に触れることで作品の中に自分を発見してきた』というくだりに泣いちゃった。私もそうして救われて生きてきたので。みんなそうだ。みんな水の中で。

 

 

 

③「人は2000連休を与えられるとどうなるのか?」上田啓太(河出書房新社.2022)

 

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上田啓太さん、インターネットの中の凄い人。めちゃくちゃ面白いブログを書く人(aikoの記事が名作。今は有料noteに移行したかも)。これ、装丁やふれこみがポップでキャッチーなふうに作られているけど、絶対絶対絶対違うだろ。もっとドープだよ。というか、普通の人は2000連休を与えられてもこうはならんやろ。という本だった。頭の良いニートって狂うんだな。なんかすごかった。2000連休の結晶だった。終盤はかなり精神世界に踏み込んでいて「ヤバイ」感じがする。あとネコの話が全部かわいくてよかった〜

 

 

 

④「なめらかな世界と、その敵」伴名練(早川書房.2019)

 

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短編集。良かった。今年読んだ小説の中でいちばん良かった。良かった。本当に良かった。くらった。漫画では表現できない、映画でも表現できない、でも小説ならできる世界がある。という事実を、この本を読み始めて2ページ目で「あぁ……あぁぁ〜〜〜〜」と思いださせられた。2ページで。2ページ目で「あれ?」と思って、その後、頭がパカーンとひらく感じ。私にとって、正直に申し上げますと、SF小説といわれているものって化学や技術やシステムや国家を描くものなのだという偏見があった(本当に良くないですね。マジでド偏見だよ。まあ拭えない偏見だよね)けど、SF小説って、『人間を描く』ジャンルなのですね と認識を改めた。そうじゃん。そうだろ。私たちは想像力でどこにでも行けるし何でもできる

てかこれはオビとか店頭ポップのせいで「SF小説」という先入観を持って読んでしまったけど

6つの話が収録されていて、最初から通して読んで、読み終えて、かっこいいバンドのミニアルバムを聴いたような感覚がした。順番が秀逸。順番は大切。6つのうち、1つ目の表題作でかなり食らって、「この人はよくわからんけどとにかくオタクなんだな…」と思わされて、伊藤計画のトリビュート?オマージュ?のやつもオチが良くて、それでそれでなんといっても最後に収録されている新幹線の事故のやつがいちばん良かった〜。エモかった。すごかった。ふぅ…と大満足で本を閉じた。この感覚が好きなんだった。読書。青春。LOVEだよ。人間を描いている。天才。しゅごい。本当に良かった。カタルシスを得た。

余談だけど前の主治医がSFファンだというので当時読んでたこれを恐る恐る勧めてみたら、表紙で引いていた。

 

 

 

⑤「FICTION!」石丸元章文藝春秋.2006)

 

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人生の問題に直面していて、ピッタリのときに、ピッタリの本を手に入れ、ピッタリの答えを得たとき、多分それは偶然ではないと思う。いや、ピッタリの答えは全く得られてないけどね。でも私はこんな感じでたのしく生きてゆきたいかもねって笑えたので。売れてない昔の本だからガビガビの画像しかなかったー。今年はこの人に死ぬほど影響を受けました。マジでバレバレすぎるくらいに影響を受けた。私がやっていること/創っているものに色が出てしまっっている、ウケる。ドラッグの取材を始めるうちに自分がドラッグにのめり込んでしまったというノンフィクション作家の石丸元章、どうして今まで知らなかったんだろうというほど、私はこの人の文章が本当に本当に大好きだと思った。この人が好きだし、この人を好きな人のことも多分好きだな。ほんと、どうして今まで知らなかったんだ? 今の環境と今の年齢だからこそ見つけられたのかもしれない。自分の輪郭がリアス式海岸のように歪な形をしていて、このめちゃくちゃな本が、それにハマってくれた感じがする。この本はフィクションで、短い話が20個くらい。生きていくための視点に「!」をたくさんくれる。これ絶対にフィクションじゃないよね、でもフィクションだよ、だって本人がフィクションって言ってんだからね。何が良いかというと、なんといってもこの文体。ポップでイリーガルでインモラル。クソなのにロマンチック。最高。ハイテンションかと思ったらダウナーで、いきなり人生の真理みたいなこと言ったりして。これ完全に、悪い大人になっちゃった元優等生だな。超わかるよ。ありがとね。何回でも読もう。シラフはつまんないしアスファルトの上は退屈だけど、この人の本を、いつまでもお守りみたいに信じていたいと思いました。何もかも嫌になっちゃったら、路上に寝よう。そしたら空が見える。私かなり地面スレスレの感じで生きてるけど、毎日どうにかこうにかって感じかもしれないけど、それでも、生きてると良い作品に出会えるもんだなって思った。これなー本当に最高だから読んでくれっつって100冊買って配って回りたいくらいだけど、でもきっと読んだらゲボ吐いちゃう人がいるんだよ。それに、品性を疑われそうだから。と思って、書くの迷った〜。けど書いちゃった〜。つまり宝箱みたいな1冊を見つけたわけ!憧れが増えました。告白かよ。実質コクった。好きです、長生きしてください。好きすぎてTwitterアカウントをフォローできないからこの気持ちはガチのやつ。キモイ。だめだ。屈した。でも絶ッッッ対にリアルで仲良くなれないタイプの人だ

 

 

 

 

 

 

ちょっと思い出したので書き留めておく話:

もう何年も前、密かに憧れていたミュージシャンの方と対バンする機会があり、その方はわりと本を読まれる方という。本に関わる場所(伏す)でバイトをしていると聞き、息巻いて「え!!なんかおもしろい本ありますか!!」とアホな質問をした。すると

『売れてる本。売れてる本は面白いよ』

それ以来ずっと受け売りで私もそう言っている。忘れられない言葉である。そして実際にそう思う。売れてる本はおもしろい。だからデカイ街のデカイ本屋に行く、ブックオフに行く、賞レースをチェックする。売れてる本を求めて。

 

以上