無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

7月8月の読書記録

13階段 / 高野和明

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なんかのきっかけであらすじを知って、これ絶対私好きな系の話だろうなって中学生くらいのときからずっと気になってて、読もう読もうと思いながら読んでなくて、図書館行ったら閉架だし、そしたらたまたまブックオフで入手できてようやく読めた。そういえばこれ15年くらい前の本なんだ。
物語は、犯行時の記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすために謎を追う話。伏線ひろいながら読んでたけど何回も裏切られて、ジャンルは多分ミステリなんだけど、真犯人は最後までわからなかった。読みごたえ十分でありながらも、なんだかあっさりしてて救いがない終わりだったけど(あ?これで終わりなん?みたいな)、死刑の是非についてはめちゃ考えさせられた。死刑の意味って何だろうとか、被害者遺族のこと、加害者家族のこも、そして特に死刑を執行する刑務官の立場や実際の執行についての描写がめちゃ切実で重くて読んでてつらいけどグングン読んじゃって、でもこういう現実は今うちらが生きてる世界に、現代の、日本に、今まさに、確実に存在していて、関わらざるをえない職業の人がいて、執行されて死んでいく人がいる。なんか知らんけど私は死刑に触れる物語や本に縁があってちょいちょい読んでたから過去にあった冤罪とか死刑の執行方法とかは知ってたけど、今の日本、死刑がめちゃクローズドな環境で執行されてて、いつ執行されたかも事後報告だし。死刑だけじゃない、刑務所もクローズド、囚人もだけどそれに関わってる職業の人たちもすごくアンダーグラウンドなイメージ、あと裁判員制度とかの話にもなってくるけどそれもすごくクローズド。なんかそういうことをいろいろ考えてしまった。死刑と冤罪の本は森達也さんの本を気合い入れて1冊読みたい。

 

■ばかもの / 絲山秋子

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アル中の話だ、とTwitterで紹介されてるのを見かけて読んでみたいと思い、図書館で借りてきたはいいものの、めちゃ面白い話なんだけど私自身がこれ読んでる時まさにアル中気味で、というかハッキリ言って酒めちゃ飲みながら読んでて、本当にクズだなぁと思うんだけどそれで、読んでる最中はすごい心を動かされた気がするんだけど今内容を全然思い出せないので再読案件です。アル中の描写、怖かったし、読んでてつらかった記憶はある。でも読みながら、怖いなって思いながら、飲んでた。結局タイトルの「ばかもの」は私のことでした。

 

阪急電車 / 有川浩

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これも酒飲んで読んでたからあんま覚えてない。本当にクズだな。なんか老若男女が登場した気がする。読後の「読書メーター」(読み終わったらすぐつけてる読書記録アプリ。いつも感想とか軽く書き残しとく)によると、「恋愛パートにキュンキュンした」と書いてるんだけど、内容の具体的なエピソードの記憶がやっぱりあんまないよね。ちなみに読んだ理由は、ヒット作っぽいから。これも再読案件行きです。

 

■連続殺人鬼カエル男 / 中山七里

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「どんでん返し 小説」でググったらおすすめリストによく名前が挙がってたから読んだ。いつかの年の「このミステリーがすごい大賞」の最終候補?か何からしい。もう、とにかくグロい、痛々しい。猟奇的だ。「人がバンバン死んで最後にどんでん返しがある系」のジャンルの本が自分は好きなんだと思っていたけどちょっとそうじゃないのかもと思わされた、だって実際これ読んでて結構きつかったもん。不快だった。なんか、登場人物に「裏切られる」瞬間が何回かあるんだけど、人が、てのひらを返したように別の人格になるのが全く怖すぎて仕方ない。ヘタな心霊映像よりずっと怖い。本当に怖いのはオバケでも恐竜でもなく、人間の心の奥底にひそんでいる狂気なんだという事実を嫌ってほど思い知らされた。だから、この手の物語はしばらく控えようかなーと思った!
あと、主人公、これでもかってくらい、いろんな人にフルボッコにされる。暴徒化した市民とか黒幕とかに。壮絶な戦闘シーンが描かれる。暴力が。めちゃ痛そうだし出血とか骨とかヤバイ、読んでてこっちが痛くなるくらい。たぶん普通に考えて作中で3回くらい死んでるんじゃねって思うくらいの濃度でフルボッコにされる。でも主人公だから最後まで死なないんだよね〜(ネタバレごめん)。すごいよ。ルフィかよ。週刊少年ジャンプかよ。

 

■ほかならぬ人へ / 白石一文

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直木賞受賞作だからわりと期待して読んだけど。だからさ〜〜人が死ぬ恋愛小説はずるいんだって〜〜、だからさ〜〜、と思った、簡潔に述べると。私は自分の愛が重いか軽いかすらわからないし、愛した人に裏切られたこともなくて、早い話が人生の経験めちゃ浅いから共感はできない。でも、好きだった人と不本意にお別れしたときの、失ったときの、果てしなく悲しい気持ちはこの本読んでてなんとなく想像できた。この本から得るものはそれだけでいいかなと思った。失うこと考えると、何かを所持しておくことが怖くなった。でもそういうつらいことも乗り越えて生きてくしかないんだよなあ。

 

■生きてるだけで、愛。 / 本谷有希子

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再読本。手放そうかと思ってたけど、この本やっぱり手放せないやと思い直した。この本、私にとって大切だわ。今を生きるすべての「メンヘラ」と呼ばれる女性はこれを読むべきだよ、特に布団から動けない系のベクトルでメンヘラの。私はこの主人公に痛いくらい共感してしまう。「痛いほどわかる」なんて、本読んでて思うことあんまないからこれはすごいよ。まず薄いからすぐに読めちゃうのがいい。あとすごい砕けた文章が私には心地よくてスラスラ読める。のめり込んじゃう。どうしてうまくいかないんだろうっていう生きづらさ、息苦しさ。「今度こそ大丈夫かも」って思ったのに自らの手でダメにしてしまう自分。痛いほどわかる。最後に光が見えるかどうかはわからんけど、この本が世の中に発表されていて流通していること、芥川賞のノミネート作品になったということと、これを読んだ人が私以外にもきっとこの世界にいること、それらのことが救い。存在してるだけで救いになる本だ。そんな本あんまないよ。やっぱ手放せない。

 

■教団X / 中村文則

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なんか話題になってるらしいから読んだ。うん、話題になってるらしくて。だけど結論からいうと、はっきり言って私は社会や政治や歴史のことを知らなすぎるせいで(=きっと私より歳上の人たちにとって「常識」とされているであろうそういったものたちを知らなすぎて)、だから読んでて「?」ってなる部分がたくさんあった。主にカルト宗教の教団を中心に物語が広がっていくんだけど、話題がいろんなところに及んでて、まあ本筋ではなく枝の部分なんだけど。いや、本筋なのかな……それすらもわからん。ストーリーを追うのでいっぱいいっぱい。キーワードは宗教、神、運命、国家、政治、などかな。あと靖国神社とか東京裁判とか。ああこの人社会学やってた(る)んだなあと思った。でも宇宙とか原子とかの理系な話もたっくさん出てくる。それは巻末の参考文献の一覧みたらなるほどね〜これ書くために勉強されたんかなぁってなる。
芸術表現っていうものはいろんな方法や形式があるけど、ジャンル問わず「好きか嫌いかの好みは置いといてとりあえずヤベエ」みたいに圧倒されるものってあって(「これは私好きか嫌いかで言ったら正直嫌いだけどなんか知らんけどめちゃ濃かったわ〜」みたいなことあるやんそれよ)、この本がそれだった。文学の力ってこういうことなのだろうか……って漠然と思った。
読後、ネットでレビューをみてみたらやっぱ賛否あるみたいだ。ボロカスに書いてる人も少なくなかった。エロ描写わりとアレだし、女の人の扱いもアレだし。でも売れてるという結果は確かにあって、数字も出てる。本ってまず読まれなきゃ、出会わなきゃ、評価も何も始まらない。そう考えると、前提として「売れてる」って事実は単純にすごいんだよなあとか思ったりした。読んでみたら、とうてい「売れる!」とは考えられない内容だけど。
ネットで作者のインタビューも漁ってみた(私は作品に興味をもったら同時に作者にも興味を持ってしまうタイプだ)。ご本人は「自分は純文学作家だ」と強く主張してらっしゃるようで、純文学っていう枠の中はめちゃ自由なのかもなー!と思った。
過去にこの人の短編集「A」を読んだけど、3つのボールが部屋で跳ねてるだけの話とかあったから(意味わからんくない?)、この作者の本はきっと私には早すぎるんだ……と思ってた。でもこの本読んで、「歩み寄りたいな、わかりたいな」と思った。なんでだろう?不思議ね

 

■第2図書係補佐 / 又吉直樹

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再読本。めちゃ「いい本」だと思う。内容は、ピース又吉の読書エッセイ。といっても、主に又吉の過去の体験や考えが4ページほど書かれて最後の数行でその文章にまつわる本を紹介するよー×25回、みたいな感じ、だからどこ開いても読める。紹介される本にも興味がわく。私が読んだ本も何冊かあって「おお」と思った。あとこの人芸人だからかやっぱり文章の内容が面白いんだよなあ。
だけどだけど、それより何より、これ読んだら絶対又吉のこと好きになっちゃうってことが重要だ。いや、読んだ結果やっぱり「コイツ芸人のくせに、ただのナードやん」て思う人もいるかもしれない。でも私は「ピース又吉」をそんなに知らずにこの本を読んで、彼のことめちゃ好きになってしまった。好印象でしかないよ。太宰に心酔してること、心に闇を抱えてるであろうこと、「情けない側」の人間であろうこと、そして何より、本が好きなことがめちゃ伝わってくるもん。芸人なのにこんなに陰のある人いるんだ、って又吉のこと身近に感じた。あと読書量すごそう。
この本は「火花」が出る何年か前に出ていて、私は「火花」芥川賞受賞後にこの本を見かけて読んだ。又吉の本やんけーって。その結果「火花」めちゃ読みたくなってる。この人、一体どんな小説書くんやろ!?って。あとこの本で又吉が紹介してる本ももれなく読みたくなる。
実は前述の「教団X」は又吉が絶賛してたから読んだっていうのもある。又吉は中村文則氏の大ファンみたいだ。巻末の対談も面白かった。

 

■架空の球を追う / 森絵都

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再読本。日常の中で苦笑いしちゃうシーンを切り取った掌編集。パパッと読めるからいい(パパッと読めるかどうかは私にとってかなり重要)。森絵都がふざけてる作品が好きで、これの中だと「ハチの巣退治」。あと森絵都はなんかグローバルなイメージがある、日本だけが舞台じゃないし日本人だけが登場人物じゃない。

 

■植物図鑑 / 有川浩

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主人公のOLはある日家の前で行き倒れていたイケメンを拾って、同棲生活を始めるんだけど、そのイケメンは主夫で植物オタクで、2人で野草を採りに行っては晩ごはんに料理して食べさせてくれる。という夢のような内容。装丁はカワイイし、登場する野草のカラー写真とか載ってて楽しい。
ただ、完全にフィクションと割りきって楽しまねばならない。こんなハイスペック男子がいきなり現れて同棲なんてあるわけねーんだよ!!!イケメンで、家事できて、優しくて、理性的で、お金のことも考えてくれて、草食系と見せかけて一枚皮めくると肉食系で…… って女子の理想が服着て歩いてるような彼。好きにならないわけがない。
前半は野草採ってしばいて食べてるのの繰り返しなんだけど、徐々に増えてくる恋愛の描写は糖分多め。多めというかめちゃ多い。ハーレクインかよ。めちゃ甘い。幸せでスイート。ゲロ甘。だがそれがいい。なぜならフィクションだから。フィクションの中でくらい夢見てもいいやろ。ということで思いっきり浸りました。読後まず書いた感想「あー、キュンキュンした!」だった。

何もできない

順調かと思えたパートタイムジョブに、ある日突然行けなくなってしまい、そのまま私が自主的にやめるような形でクビになった。東京を離れてからアイデンティティをずっと探してたけど、とうとう自信が底をついた。こんな簡単なことすらできない自分なんかにはもう一生何もできないんだとまで思った。でも自業自得だから仕方なかった。自尊心がズタボロだ。(まー仕事が合うか合わないかで言ったら合わなかっただけの話よね〜!ギャハハ!っていう自分も半分いるから大丈夫だけど)
仕事をやめる少し前、かかりつけの心療内科の病院に行って最近のことを先生に話した。朝から酒を飲んで1日ひっくり返ってるだけの日がしばしばあること、それを心配した家族に財布を預けるも抽斗の奥などからお金を見つけて酒を買いに行ってまた同じ繰り返しをしてしまうこと、それが理由で仕事をサボった日があったこと、それが理由で友達との約束をキャンセルしてしまったこと、それなのに飲まなきゃ不安で不安で酒がやめられないこと。
先生は仕事をやめなさいと言った。ストレスの根源はきっと仕事にあると。私の病気「強迫性障害」の患者は、細かいお金のやりとりや数字の確認などといった仕事を最も苦手とするということらしい。スーパーの中でもレジはその最たる部門だ。言われてみればいつも出勤前「間違えたらどうしよう」「取り返しのつかないことをしてしまったらどうしよう」と怯えていた。その怯えが膨らみすぎて出勤できなくなったのかもしれない。先生のアドバイス通り、仕事をやめた。

近頃何もしてない。ギターも弾いてないし歌も作らないし詩も書かない。何もつくる気がしない。創作に対する意欲がない。
何をしているかというと、唯一本だけは読んでいる。アニメも見ている。音楽はきかない。
楽しそうなことしてキラキラしてる友達をiPhoneごしに見ている。私は今はそっちへは行けないな。さみしくも悔しくもなく、ただそういう事実だけが横たわっている。
東京は、夢みたいな場所だ。本当にあの土地に、また戻るのだろうか。

スーパーマーケットファンタジー、そして酒クズと図書館

富山に帰ってきてから2か月、3件不採用を経たのちようやくバイトが決まり、めでたくスーパーのレジを始めた。車を使わずに家から行ける距離で、私が幼い頃から何度も何度も母と買い物をしたことのある小さなスーパーだ。よっぽど人が足りていないらしく、履歴書をもって行くと即採用になった。
スーパーのレジは高校生の頃に経験があった。茨城県での夏フェスに行くために、学校(バイト禁止)に内緒で夏休みの短期アルバイトとして朝から夕方まで毎日レジ打ちで旅費とチケット代とグッズ費を稼いでいたのだ。今の職場は当時通っていた店の系列店なのでいろいろと気楽だった。あれから約10年のブランクを挟んでいるし、当時は今ほど普及していなかったエコバッグやレジ袋有料制など面倒なことはあるが、レジ打ち自体は徐々に調子を取り戻しつつある。何より「レジやったことあるがね? なら大丈夫やちゃ」「あんたの研修今までのバイトの子でいちばん短時間でラクだったわ〜」とスキルを認めてもらえて、ほとんどすぐに戦力として使ってもらえているのがありがたい。(ちなみに昨日「あんたこれからどっか就職すんが? ずっとここで働く気っちゃない?」と言われた。どんだけ人足りとらんのや)
我ながらとても良い質の接客だと思う。はっきり喋れる人間でよかった、あとかわいい声に生まれてよかった。所作を丁寧に丁寧にこなすと、おつりを渡す際なんかに客側も「ありがとう」「お世話さまです」と言ってくれたりする。多少ミスしたとしても笑顔で許してくれる。
ただ、そんなふうに私の神接客を以てしても何かが気に入らないらしく文句をつけてくるババアはいる。ババアのみならずジジイもいる。しかし彼らはそういう生き物なので仕方がないと割り切るしかない。

レジにいると、カゴの中身を通してその人の生活がなんとなく見える。
ホットケーキミックスと蜂蜜とホイップクリームを買う母娘。揖保乃糸とめんつゆを買うおばさん。鬼ころしのパックや焼酎のボトルとサラミを大量に買っていくおじさん。高い味付き肉とエバラ焼肉のタレとサニーレタスを買っていく家族連れ。ゴミ袋やラップやスポンジなどの日用品をまとめて買っていくお兄さん。小銭を握りしめて半額のアイスを1個だけ買っていく子ども。
人を見た目で判断してはいけないが、カゴの中身とギャップがあるときは少し「おっ?」と思う。

図書館でや塾で働いていた時と比べて、やりがいは1ミリも感じない。たまに同級生や同級生の家族がきたり、客と世間話をしたり、小さな子どもと接したりするという楽しみがないこともないが、基本的にはゆっくり流れる時間との戦いだ。同じ動作の繰り返し。出勤して、レジに立った瞬間からもう帰りたい気持ちになる。壁の時計を何度も見てしまう。それでも、この田舎で車の免許を持たない私が家から通勤できる圏内の数少ない商業施設に雇ってもらえただけでも御の字なのだ。ついでに、ありがたいことに三角巾のようなものを被って勤務するため頭のハゲも隠れる。ありがたい。文句を言っている場合ではない。それに、別にやりがいや生きがいを求めてスーパーのレジ打ちをやりにきているわけではない。金、欲しいのは金だ。家でぼんやりしている無為な時間を現金に変え、人と関わって生きて、さっさと目標額まで貯めて一刻も早く東京にいる恋人と暮らすと決めたのだ。働くしかない。働くしか。

 

バイト先を出てすぐそこに、図書館がある。役所仕事の施設も併設されていて、かつては児童館もあった建物だ。ナントカ総合センター、みたいな感じ。幼稚園や小学校とも近い。そこまで広くはないが、間違いなく人生で最も訪れた図書館だった。どこにどんな本があるか、つぶさに知っている。児童図書も一般図書も、幼い頃からこの町を出ていくまでに読んだ本がたくさんある。ここで宿題もしたし、受験勉強もしたし、小説も書いた。不登校の時にも通った。

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↑美しいよね。どの本も、それぞれのやり方で自分を主張してる。
この図書館のロビーには公衆電話や自販機や長椅子があって、学校帰りの小学生たちの溜まり場になっている。小学生の占拠していない部分の長椅子に腰掛けて、夜寝る前に飲むつもりで買った缶チューハイを取り出し、開栓する。

 

ヤベーーーーーーーー

 

背徳感とアルコールでフワフワする。おいしい。そしてとても強く強く、罪の意識。昼間から外で酒を飲んでいる。とても健全な場所で、こんなことをしてしまった。小学生たちはこんなところで座りこんでいる私をどう見ているんだろうか。下校時間帯に飲んでるダメな大人だろうか。それとも、すぐそこに自販機があるから酒の缶をジュースやお茶だと思っているだろうか。
「今日バイト頑張ったんだし別にいいじゃん、あと歩いて帰るだけなんだし」心の中の悪魔が言う。
「こんなところでこんなことしてるの明らかに普通じゃないよ、やめなよ」心の中の天使が言う。
しかしもう開栓してしまった以上飲むしかない。飲む。自分クズだなあ〜と思っていた自責の念が、罪悪感が、ナントカ総合センターのロビーから吹き抜けへ向かってすぐに溶けていく。おいしい。おいしい。
飲み干してゴミ箱に缶を捨てて、ほろ酔い状態で図書館に入る。意識はしっかりしているが、視界に入る本棚の本すべてが面白く見える。心理学、名付け辞典、宗教、農林水産業の抱える問題、名前も知らない偉人の一生、いきものずかん、弁護士になるには、としょかんのつかいかた、1人ぶんの朝ごはん、トムソーヤの冒険、横光利一の全集、上手くなるサッカー、尾木ママの本、子どものためのドラッグ大全、村上春樹、もうどれもこれも面白そうで、館内をフラフラと歩けばあれもこれも読みたくなって、手に取っては目次だけ眺めて棚に戻す。特に児童図書が楽しい。あー、酔ってる。最高。楽しい。やっぱり私は図書館が好き。大好き。大好きだ。文字の海、情報の海に溺れていたい。たくさんの資料たちが、誰かに伸ばされる手を待っている図書館。触れていたい。
また図書館で働きたい。これが私の願望だ!
そして、思い立ったらすぐに行動をおこしてしまうのが私の長所であり短所である。
カウンターにフラフラ近寄り、パソコンでお仕事をされていた小太りのお兄さんに尋ねる。
「すみません」この時点で私は酒臭かったのかと思うとあらためてクズだなあと思う。
「はい」
「あの、トヤマ市立図書館って本館の他に分館がたくさんあるじゃないですか」
「ええ」
「その、それらで働いとられる方たちって皆さんすべて司書の資格を持っとられるんですかね」私は司書の資格を持っていない。
「あー……一部、ですね」
「一部?」
「いわゆる普通の、パートの方とかも少なくないんですよね」
「はあ、そうなんですね」
「はい……」
「……」
「……」
「今って」
「はい」
「こことかって、求人とかってしてないんですか」
「あー……」
「……」
「ここの分館からは出してないんですけど、本館がまとめて出してますね」
「ああ」
「求人に関することも、本館に問い合わせてみればいいと思います。それこそ電話とかしてみるといいかもしれないですね」
「なるほど、そうですよね。すみません、ありがとうございました」
司書資格がなくても働いている人はいる!ヤッターーー!!!せっかく安定してきたスーパーのレジを放り投げて、私でもパートとしてどこかの図書館に採ってもらえないだろうかなどと酔った頭で考える。バカだから。しかしそもそもトヤマにはいつまでも滞在しているつもりはないのだった。前述のとおりさっさと金を貯めて東京で恋人と暮らすのだ。司書の資格は、まあ子どもを産んで空き時間に勉強を始めるとかでもいいだろう。東京に行けば電車やバスという通勤手段があるし、働く場所なんていくらでもある。結局今はスーパーで金を稼ぐしかないし、図書館は利用者として楽しむのが最適解だろう。

 

目下のところ、レジの仕事に慣れてお金を稼ぐしかない。経験もあるせいか、わりと好調だ。明日から夕方〜閉店まで固定のシフトだ。閉め作業では、レジ以外にも鮮魚部門のこともしたりする。早く慣れたい。
ちなみに前述のお兄さんは昨日13時台に私のレジへお昼ごはんを買いに来た。たぶん私のことは覚えてなかったと思うけど、少しテンションが上がった。

2017年春の読書記録

春に読んだ本の感想などまとめ。1〜3月は読書どころではなかったので主に4月5月に読んだものたち。画像は自分撮影だったりアマゾンから拾ったり

 

目次
★さよなら、ニルヴァーナ / 窪美澄
★殺人出産 / 村田沙耶香
★ブルーシート / 飴屋法水
★すみなれたからだで / 窪美澄
★スクラップ・アンド・ビルド / 羽田圭介
★A / 中村文則
★ひらいて / 綿矢りさ
★殺戮にいたる病 / 我孫子武丸
華氏451度 / レイ・ブラッドベリ
君の膵臓をたべたい / 住野よる
★ジニのパズル / 崔実
ハサミ男 / 殊能将之

 

■さよなら、ニルヴァーナ / 窪美澄

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この人の本わりと好きかも、と思って、読めるやつから順に読んでいる。これはたぶん神戸連続児童殺傷事件の「少年A」が題材になってるんだと思う。少年を追う作家・少年を崇拝して聖地巡礼する少女・被害者児童の母親の3人の視点から物語が進む。重い。少女が被害者児童の母親と出会って少年のもとへ向かうあたりから、すごく引き込まれて時間を忘れて夜中まで読んでしまった、けどラストで失速したというか、オチが、というかこの話が結局どういうことなのかがよくわからなかった。人間の描写は本当にすごい、というかそこがこの人の本の好きなところ。

 

■殺人出産 / 村田沙耶香

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某作家のおすすめで知ったのと、去年に芥川賞とった「コンビニ人間」で名前を知ったので読んでみた。短編集。表題作は「10人産んだら1人殺してもいい」っていうぶっ飛んだ制度が設けられた日本の話。そのほかも、ぶっ飛んだ設定の話ばっかだった。たぶんそういうコンセプトの短編集なんだと思う。当たり前のことをぐるっと裏返してみるというか。サクサクっと短時間で読めたし普通に人に勧めたい。あとコンビニ人間も読みたい。

 

■ブルーシート / 飴屋法水

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戯曲。戯曲っていうのは演劇の台本(私は大学入るまで戯曲という言葉自体を知らなかった)。岸田國士戯曲賞とってたのと、私の周りのアート関係の人たちで上演が絶賛の声が多くて、読んでみた。実際に東日本大震災に見舞われた10人の高校生が役者をやって、学校の校庭で上演したらしい。読んでみて思ったのは、たぶん戯曲という文芸は、読み物として楽しめるものとそうではないものに二分できるとしたらこのブルーシートは後者だってことだった。戯曲を読んで、上演めちゃ観たかったな、とこんなに思ったの初めてかも。でも私ごときが感想述べちゃいけないのかもしれないとも思う、そういう濃度を感じた。

 

■すみなれたからだで / 窪美澄

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これも「窪美澄の本を読むぞ」と思って読んだ。普通に読みやすい短編集だった。いくつか好きな話もあった。でも、この人の本は連作短編か長編のほうがずっしり重たくて気持ちいい気がする。

 

■スクラップ・アンド・ビルド / 羽田圭介

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又吉の「火花」と一緒に芥川賞とったやつ。それまで全く存じ上げなかったけど、又吉の受賞で芥川賞がワッと話題になったときに便乗してテレビにめちゃ出てて、変な人だなあ〜と思ってた。作品まったく知らないのにお人柄ばっかり先行してしまうという面白い事態。読んでみたらやっぱり変な話だった。簡潔にいうと、青年と死にたがりの祖父とのおかしな関係を描いた話、なんだけど、私がこの本から感じたのは「筋トレに対する信仰」だった。ご本人が筋トレマニア(?)というのを事前にテレビで見ていたからだと思う……

 

■A / 中村文則

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この人の「教団X」を読みたかったんだけど図書館で予約30人待ちとかだったから諦めてテキトーに手にとった短編集。結論からいうと私には早すぎる感じだった。振り幅が大きくて。部屋でボール3つが動いてるだけの話とかあった。ウワ〜〜〜こういうのを純文学と呼ぶのか???と思った。何年かしたら読み返したい。あと相変わらず教団Xも読みたい。

 

■ひらいて / 綿矢りさ

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綿矢りさの、何の本だったか忘れたけど、「うわ怖っ」て思った瞬間が何回もあって、どういう怖さかというとホラー的なあれじゃなくて人間って怖いよねみたいな怖さで、私はこの人に対して「怖い話を書く人」というイメージがある。この本も、青春小説なんだけどちょっと怖かった。主人公の女の子がどうしようもなく好きなクラスメートの男子には彼女がいて、彼のことを振り向かせたいあまりに主人公はその彼女と寝る。みたいな。どうしてそうなる。

 

■殺戮にいたる病 / 我孫子武丸

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「小説 どんでん返し」とかで検索したら大抵出てくるから気になって読んだ。結論からいうとマジの最高だった。叙述トリックって映像化するのは難しくてつまり文章という表現ならではの楽しみで、私は叙述トリックだとか終盤にどんでん返しだとかそういう本が大好きなんだけど、その観点からいえばもう本当に本当に最高だった。「叙述トリックの話」という先入観をもって読んだけど何がおかしいのかまったくわからなくて、最後のページでああああああああ!!!となった。人殺しの描写は結構グロいし、犯人の思想がガチのサイコパスで意味不明だし、殺害シーンのたびに流れる岡村孝子の「夢をあきらめないで」にはとんでもないマイナスイメージがつく。けどそれを差し引いても最高だった。よくできてる。

 

華氏451度 / レイ・ブラッドベリ

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外国の小説をあんまり進んで読もうとしないけど、文庫だし行間広いし装丁も新しいっぽいしこれなら読めるかなと思って。読んでみたら、めちゃ面白かった。本の所持が違法になった世界で、本を燃やす仕事をしてる主人公が世界のおかしさに気づいて、本を読んでしまって……みたいな話。ディストピア。たぶんもともと詩的な文体なんだと思うけど、訳がよかったのか、その中でもハッとさせられる文章がたくさんあった。この世界の人たちはテレビとラジオに心奪われてて、自分で思考することを忘れてしまったせいで記憶力とかも著しく低下させられているけど、(散々指摘されてるみたいだけど)このテレビとラジオをインターネットに置き換えたのが現代なのかもしれない。ブラッドベリもそういう世の中に警告をこめてこれ書いたらしいけど、1953年に書かれたとは思えないくらい、全然古くなくて、現代に共通することたくさんあった。もし現代でも、本、取り締まられたら嫌だなあ。

 

君の膵臓をたべたい / 住野よる

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どの本屋に行っても平積みされとるなあ、と半年前くらいからずっと気になってたら、あれよあれよとベストセラーそしてコミカライズに映画化。そろそろ読まなきゃ!と思ったタイミングで本屋行ったらなんと文庫化していたので購入。1行目から人が死んでた。「人が死ぬラブストーリー」ってカテゴライズおよび先入観はすごく不健康だと思うけど、正直最初はちょっと斜にかまえて読んじゃった。これは、ラブストーリーっぽいけど違うような気がする。恋愛の定義ってどういうものなのかわからないけど「相手を知りたい」ひいては「君になりたい」と思い合う関係の尊さにこみ上げるものがあり、泣けるという触れ込みのとおり、終盤、というかこのタイトルに迫る部分でちょっと泣いた。あと読み終わって表紙を見たらまたこみ上げるものがあった。映画は観ないつもり。

 

■ジニのパズル / 崔実(チェシル)

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コンビニ人間」受賞のときの回の芥川賞候補になってたのと、本屋でわりと見かけるので読んでみた。めちゃよかった。パワーがすごい。これ芥川賞とってたらちょっと日本変わると思う、そのくらいの力をもった話だと私は感じた。在日朝鮮人のジニという女の子の話。青春小説なんだけど、宇多田ヒカルテポドン金正日が同じテンションで出てくる。小説に限らずだけど、「これを伝えたいんだ」ってボディブローのように迫ってくる作品に触れたときって、心が震えて、創作意欲も刺激されて、最後には「ありがとう」みたいな気持ちになるけど、今回本当にそれだった。圧倒された。読めてよかった。ジニのことを抱きしめたいし、私もがんばって生きていこうと思った。この崔実さんはこれがデビュー作だそうなんだけど、またこの人の本を絶対に読みたい。

 

ハサミ男 / 殊能将之

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これも「どんでん返し」系の本だといろんなところで勧められたので読んだ。そういう先入観をもって読んだからだろうけど、ずっと違和感があって、叙述トリックはネタばらし前にわかってしまった!もったいない、何も知らずに読むべきだったー。でもそれ抜きにしても、よくできたミステリーで、真犯人は最後までわからなかったし、読みごたえもあった。この人もう亡くなってるのが残念だ。

私の強迫性障害

トイレで、確かにおしっこを出し切った。でもまだ出る気がする。そして膀胱と尿道に意識を集中させると、まだ残っていたぶんが出る。それでもまだ出る気がする。実際に出る。私はこれを出し切らなければならない。その繰り返しで、トイレからなかなか出られない。

髪型を整えるために鏡を見る。するとチラッと白髪が見えた。抜かなければいけない。今こいつを見逃したら次いつ見つかるかわからない。だから今このタイミング抜かなければならない。そうして頭髪をじっくり見ていると別の白髪も見つかる。それらも、今抜かなければ次いつ見つかるかわからないので、今抜かなければならない。

同様に、頭の髪の毛をさわっていたらチリチリになった髪の毛を手触りで発見した。抜きたい。抜かなければならない。「それだけが違う、それだけが異質」ということは、それを排除しなければならない。抜かなければならない。

朝8時に目が覚める。昨日眠りに就いたのはおそらく4時頃だ。4時間しか眠れていない。このことがどうしようもなく恐ろしい。人と会っている大事な場面で居眠りでもしてしまったらどうしよう。授業中に居眠りをして先生に怒られたらなんて恥ずかしいんだろう。バイト中にうっかり居眠りしてしまったらクビになるかもしれない。だから私は外に出ることを選ばずに家で眠ることにする。人との約束は体調が悪いといってドタキャンする。授業はサボる。バイトは休む。

朝9時に目が覚める。待ち合わせは9時半。友人はとても化粧が上手いしイケイケ系だ。私は化粧がそこまで上手くなく、時間がそこそこかかる。しかし友人の隣を歩くにはきちんと化粧をしなければならない。必ずそうでなくてはならない。それなのに寝坊をしてしまって、化粧を完璧にする時間がない。間に合わない。もういっそすべてが面倒になる。私は友人に電話をして「ごめん、体調が悪くなった」と嘘をつく。

大学の授業のレポートを書く。完成する。これを提出すればいい。提出期限がギリギリでも、とりあえずの誂え物でも、これを提出すればいい。しかし、果たしてこれで本当にいいのか?ともう1人の自分が問いかけ始める。こんなもの提出していいのか?と。締め切りまでにレポートを書き直す時間はない。しかしこのレポートをどうしても提出してはいけない気がする。そうしてそのレポートはお蔵入りになり、その授業の単位を落とす。

ほうれん草をゆでる。根っこはよく洗ったはずだが、土や砂が出てくるのが不安で何度も何度も洗う。強く扱っても出てこなくなるまで。

トイレから出る。手を洗う。それでもまだ汚い気がするので、水を止めてからもう一度、手を洗う。それでやっと気が済む。

真実はいつもひとつ

ゴールデンウィークに、友人(おたく)(コナンファン)と名探偵コナンの映画をみにいった。
本当はカラオケに行く予定だった。歌う曲リストまで作成して楽しみにしていた。しかし行きの車の中でコナンの話になり「映画行く? 今から行っちゃう?」「え、でももう見たんやろ?それ」「見たけど、くり(私のあだ名)にも見てほしいし……」「(そんなに面白かったんや…)」という流れになる。「どうする、どうする」「あ、映画館行くなら次の信号のとこ左折せんといけん、それまでに決めんにゃ」「えっ、どうしよ」「でもカラオケも行きたいね」「でも、でも、そこまで言うならコナン気になる!」車は左折した。

そして見た「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」、

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めちゃ良かった。
映画館で映画をみるということ自体が、何年ぶりになるかわからないくらい久しぶりだったため、まず「ポップコーン食いながらデカい音とデカい画面で見るコナン最高ー!すごーい!たのしー!」という、極めて原始的な感想がうまれた。映画の内容は、冒頭いきなり人が死んでそれからテレビ局とかがボンボン爆発して登場人物がバンバン死んで最後はきれいに解決、という非常にエキサイティングなものだった。
物語の舞台は京都で、百人一首がキーポイントになっているのも良かった(自分が百人一首やってたことあるから歌の意味とか全部覚えてる)。さらに、なんといっても、登場人物である西の高校生探偵こと「服部平次」が、とにかくかっこよかった。信じられないくらいかっこよすぎて、この映画を見るということは服部平次に抱かれるようなものなのだと思った。この映画を見た人は全員服部平次に抱かれたということなのだ。そして、ピンチの場面で平次が幼なじみの和葉に言う「手ェ離したら、殺すで」というセリフで私はハートを撃ち抜かれて妊娠した。平次の子どもを。着床した。あのセリフの瞬間に観客すべてが妊娠したに違いない。つまり日本に服部平次の子どもが何人新しく誕生したかわからない、そのくらいのヤバさをもったセリフと演出だった。映画館を出たあと、私には探偵の幼なじみがいないという現実を不思議に思った。

その映画館はショッピングモールの中にあるので、映画館を出たあと私たちは同じモール内のイタリアントマトに入った。友人の頼んだケーキをつつかせてもらいながらしばらく喋った。私はコナンに関しては素人なので、コナンファンの彼女にいろんなことを聞いた。その結果、コナンに関するいくつかの基礎知識を得ることに成功した↓

・平次と和葉は付き合っていない(いわゆる両片思い)。
・新一と蘭も付き合っていない(新一は気持ちを伝えたが蘭がそれに答える前にコナン化した)。
・コナンのアイテムはすべて阿笠博士が開発している。
・おっちゃんは奥さん(蘭の母)とは別居中。
・原作は1994年から連載が開始し、現在コミックスは90巻ほど出ているが、この間コナンたちの世界では半年くらいしか経過していない。
・アニメ1話ぶん=原作3〜4話ぶん。つまり、原作通りにアニメを進めていると原作の連載の最新話にあっさり追いついてしまう。したがって、放送されているアニメは原作にはないオリジナルストーリーの回が少なくない。
黒の組織に関して、その設立者や詳しい目的などはまだ何も明らかにされていない。
・灰原さんはかつて黒の組織にいた。
最近の小学生はコナンと新一の関係性をよくわかっていないままコナンを見ているらしい。

他にもあったけど突っ込んだ話なので略。友人は、なんでもスラスラと答えてくれた。頼もしい。

あとは、友人も私もオタクなので、そういうオタクな話をたくさんした。彼女とは中学生からの付き合いだが、ここまで突っ込んだオタク談義をしたのは初めてかもしれない。

「女体化がどうしてもダメ」「コスプレが理解できない」「獣化はどうか」「キャラとモブとの関係性はどの程度まで許せるか」「結婚する前に一度イベントで本を出してみたい」「恋人は趣味に理解があるか」「こんなシチュエーションの同人誌がある」「×××っていう同人誌がおすすめ」など。

 

友人は、美人なのに「あ〜〜○○くん(某作品の俺様系キャラ)すごい良い、夢も攻も受もイケる、しゃぶい」など幸せそうに発言する信頼のおけるオタクだ。私が映画自体久しぶりだったので、付き合ってもらってありがたかった。ちなみに行き帰りの車ではアイドリッシュセブン(私と友人共通して知ってるジャンル。男性アイドルグループのソシャゲ)の曲が流れていた……。

「展覧会に飾る絵はこれが私の人生だっていうつもり」

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ちょっとした機会があり、富山県民会館日展をみにいってきた。日展というのは、わからんけど日本各地から美術作品がたくさん展示されてる系の展覧会だ。略して日展だ。知らんけど。ちなみに来場者のほとんどは私より年齢が上のように見えた。あまり若者がくるところではないのかもしれない。

たぶん高校生の頃、偶然にも前売券が手に入って同じ場所に日展をみにきたことがあった。これから大学で芸事を志すつもりだし一応なんとなく行っとこうかな、くらいの気持ちだった。そこで死ぬほど心を奪われた絵があり、物販でポストカードを購入して帰った。その絵は、公園のシーソーの両端の地面がくぼんで、そこにできた水たまりに青空が映っているというものだった。ちなみにそのポストカードは、大切にとっておいたのにどこかへ紛失してしまった。当時の私には美術の素養など1ミリもなく、日本画と洋画の違いもわかっていなかった(今も多分あんまりわかってない)。

今回の日展では、日本画・洋画・彫刻・工芸・書 の5つの分野の作品たちが展示されていた。順路通りに進むとたまたま最初が日本画と洋画だった。最初は作品の大きさにひたすら圧倒された。私の身長、約150cm×150cm、をゆうに超えるデカさの絵。そのうちに、大森靖子の「展覧会の絵」という曲の歌詞【展覧会に飾る絵はこれが私の人生だっていうつもり】を思い出した。みんなそんなつもりで描いてるんだ。絵を眺めて、そんなふうに感じた。どんなきっかけがあってこの絵を描いたんだろう? どのくらい時間がかかったんだろう? 完成したときどんな気持ちだったんだろう? ここにはたくさんの人生が、壁に並んで飾られている。すべてが堂々としている。すごい。すごい。ホントすごいなあ。

とあるクジャクの絵を見ていた。描かれた3羽のクジャクは尾羽を閉じていながらもとても美しい色味と佇まいで、そういえばクジャクってきれいな鳥だよなあと思い出した。すると偶然そこでスタッフの方の作品解説が始まった(マイク結構うるさかった)。その絵を描いた神保さんという方は、クジャクを40年ずっと描き続けているらしい(ちなみに私の中学校の時の理科の先生のお父さんらしいことが判明。つまり相当おじいちゃん)。クジャク一筋40年。すごい。何かきっかけがあって、クジャクに魅入られたのだろうか。でもこの絵をみていると、クジャクにゾッコンになる気持ち、わからなくもない。クジャクが神保さんの人生そのものなのかもしれない。すごい。そしてクジャクきれい。クジャクかわいい。すごい。

 

しかし、私はどうにも美術に明るくない。作品を鑑賞しながらも、くだらないことばかり考えてしまう。脳みそが豆腐でできているので仕方がない。とても悲しい。たとえば

 

(裸婦が描かれてる絵って、やっぱ裸の女の人見ながら描いたんよな? 作者は……男だ、そしたらやっぱこのあと滅茶苦茶えっちなことしたんかな!? だったらヤベー! 裸婦の絵すべてエロく見えるわー! それともすでに妻とかかな? ていうかなんでこういうマジメな絵って裸の人間ばっか描きがちなん? エロ? エロなん? やっぱエロいとみんな見てくれるからなん?)

(うわーーーーようわからんけどこの木のオブジェめちゃツヤっツヤのスベっスベやんけーー触りたい触りたい触りたい触りたい触りたい)

(こんなグチャグチャの絵、私でも描けそうなんやけど! ギャハハ!!)

(この彫刻のネーチャンおっぱいの形キレイやなー!あの青年ちんちん小せえー!モデルの人大丈夫?? 主に人権とか大丈夫???)

(この木彫りの女の人、服着とるのに明らかに乳首立っとるよなあ……とんがっとるし…明らかにそういう彫り方だよなあ……なんで乳首強調したんやろ……作者のフェチかな…ブラくらいさせてやって……)

 

馬鹿を自ら露呈している感は否めないが、以上のような感想を持ちながらとても楽しく鑑賞した。アートなんて発信側の手を離れた時点で勝手にどんな姿にでもなるのだ、そして受け取り方は人それぞれなのだ。

そう、絵や工芸や彫刻は、まだ楽しく鑑賞することができた。しかし書作品。だめだった。まったくわからない。何がわからないのか。まず、何が書いてあるのかがわからない。作品タイトルを見てある程度は推し測れるが、基本的に作品の文字が読めない。次に、作品の何を見ればいいのかがわからない。仕方がないので額縁を見ていた。掛け軸は「掛け軸だなあ」と思いながら見た。そして最後に、何をもって優劣がつけられているのかがわからない。この日展では、各作品の、タイトルと作者が書かれたやつ(キャプション?ていうやつ?)の横に、たまに金色の紙があって、それには「特選」とか「東京都知事賞」とか「文部科学大臣賞」とか書いてある。そういうのは、ある程度評価されてると考えていいのだと思って、そう思いながら見たが、書作品だけは、やっぱり何がすごいのかがわからない。悲しい。素養がない。とても悲しい。

しかし、何かに詳しくなるということは、その対象をフラットに、混じり気のない純粋な心で見つめることはできなくなるということなのだ。それを思うと、私はおっぱいやちんちんのことを考えながら鑑賞するのが結局いちばんいいのかもしれない。

 

また図書館も行った。

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この他にあと4冊ある。前回に借りた本たちは、全然読みきれないまま期限が来てしまった。しかし懲りずにまた大量に借りてきてしまった。今回は、なんといっても華氏451度、ずっと読みたかったから念願叶って嬉しい。しかし、昨日借りてきた本たちを家のリビングに放置していたら「お前がどんな本を読んどるんかと思って、ちょっと手に取ってみた」という父が「あの黒と赤の文庫本、数字のタイトルのやつ(華氏451度のこと)、1行目読んでもう読む気なくした」とのことだった。まだ読んでない1ページ目をひらくと、1行目は『火を燃やすのは愉しかった。』だった。なぜだ。まさにこの物語を象徴する(あ、未読だけど一応あらすじは知ってるよ!)、めちゃワクワクする書き出しやんけ。なんでだよ父ちゃん。