無限ワンアップ・改

さゆゆだよお

遺族のタイムライン

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★Day 1

「もう長くない」から「そろそろヤバイ」になるまでが早かった本当に早かった。急だった。
《座敷きれいに片付けといて。とりあえずは、じいちゃんが病院からいつ帰ってきてもいい状態にしとかんなん。仏壇の前も》嘘でしょそんな……。そんで座敷をとりあえずで掃除機かけてたら、訃報。早い。ちょっと待ってくれ。しかし泣いている暇はない、座敷の片付け続行。じいちゃんがやっと病院からうちに帰ってこられる。仏壇もひらく。拭く。
近しい場所に住んでいる親族が続々とやってくる。連絡がまわったんだ、ありがたい。でも誰が何なのか全然わからん。勝手に台所入られるのすごいヤなんだけどこの口うるさいババアは、じいちゃんから見て、そして私から見て何なんだ?家系図ほしい。ていうか名乗って〜。でもとりあえず今はいちいちそんなん尋ねてる場合じゃない。まあとりあえず親族なんだろう。父ちゃんとばあちゃんが帰ってきたら聞こう。
あ、神棚は見えないように隠すんだなこういう時……へえ……。ていうかそのためのデカい布をばあちゃんきちんと用意してて、それがすごい。
葬儀屋さんが登場。床の間、掛け軸も置物も撤去撤去撤去!
そしてじいちゃんが無言の帰宅。顔も手足も白い。あ〜〜〜〜ホントに死んじゃったんだ。あああ。あああああああ。

 

 

★Day 2

起きると目玉焼きが作ってあった。あれ、精進料理って肉と魚はダメで、タマゴはアリなんだっけ……?
「母さん、タマゴってNGじゃない?精進料理的な意味で」「うっそ」「待って今ググる」NGやんけ。「ごめーん殺生してないモンなら食べていいもんやと思った〜」しかしつくったものを捨てるわけにもいかないから食べた。母のテヘペロ、じいちゃんごめん

「そんで、明日がお通夜で、明後日お葬式だよね?礼服どこだっけ」「いや、日曜が葬式できんがよ。友引だから。もう1日延びる」「アーなるほど……」こういうことでもなければコヨミとか普段まったく気にしない。こないだ久しぶり会った先輩はわりと気にするよみたいな話してた、引越しの日とか。冠婚葬祭以外で考えたこともないや。

私は夕方から歯医者の予約してた。けど、これは、こんなときは、歯医者に行ってる場合なのか?まあ今は手すきだし、いいかなあ……
「おーい。さゆりもうすぐ歯医者やろ。俺が車出すちゃ」「え、いいが?カッパ着てチャリで行くつもりでおったんだけど」「いいよ、今ちょうど手あいたから」「ヤッターありがとーってかまだ居間で父さんたち話しとんがやろ?兄貴抜けてきてよかったんけ?」「なんか、さっきから遺産の話?始まったから」「イサン」「遺産の相続とか」「イサンのソーゾク……」

歯を削ってプラスチックを詰めて、違和感ないように形を整えてもらう。歯医者さんもそうだし、葬儀屋さんもだけど、プロってすごい。普段ふれる職業の人もすごいしプロだけど、普段あんまりふれない職業の人と関わったときに特に思う。プロってすごい!

 

 

★Day 3

親族がモリモリとうちに来ていくんだけど、とにかく続柄がわからない。
「あの幼女ってどこの子?」「あれはばあちゃんの兄の、あ、もう亡くなっとられるけど、そのお兄さんのそこの家の息子さんとその奥さんの子」「へえ〜」

「今うちに出入りしたり手伝ってくれたりしとる親族の人らって、どこの人らなん?家系図書いてよ」「そうやね、ちょっと書いてみるわ」

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まあまあわかった

あと「ユカリちゃんやね。大きくなったねえ」と親族にそこそこ名前を間違われる。サユリって名前になって27年経過してるけどまだ間違うかなあ。そういえばお年玉のポチ袋にも「ゆかりちゃんへ」って書かれてたことが結構ある。サユリとユカリってそんなに似てるかな。似てるかもな。

座敷に横たわるじいちゃんのすぐそこに座り込んで、ボケーッと考える。でもほとんどわからない。ハテナマークばっかり。
じいちゃん、本当に死んでしもた。あんまり苦しまずにいけたとのことだったから良かったけど、それでもやっぱり少し苦しかったんかな。死ぬのって怖かったかな。
私のことどう思ってただろう。孫。子どもの子ども。わからなすぎる。子どもすらいたことがない私にとっては途方もなく遠い世界。孫がいるってどんな気持ちなんだろう。

 


★Day 4

昼ごはん(もちろん精進料理)食べながら見てたテレビで、蒙古タンメンの特集。
「うまそー」「東京にあるがやろ?さゆり東京おったとき食べたことなかったん?」「なかったんよね」「セブンにカップ麺あるよね」「マジ?」「なんかチーズ入れて食べたらおいしいらしい」「やりたいなそれ」

納棺、出棺、からの、お通夜。礼服着た自分は老けて見える。というか年齢を感じる。すごく。納棺は、葬儀屋さんってプロだなーって感じ。仕事ではあるけど、死体にめちゃくちゃ触るのってどんな気持ちなんだろう。仕事以上でも仕事以下でもないか。
麻雀牌もパチンコ玉も燃えないから、結局花札を入れた。じいちゃんの体の上に絵柄の札がたくさん散って、すごく風流だった。インスタ映え、インスタ映えするよじいちゃん。
お通夜はたくさんの人がきた。本当にたくさん。斎場のキャパオーバー気味だった。ありがたい話だホント。中学校のときに数学を教えてもらってた先生と理科を教えてもらってた先生と学年主任だった先生が来てくださった(父の仕事関係者)。久しぶり……。
喪主である父の挨拶(スピーチ)がパーフェクトだった。参列者様への感謝の気持ちと、在りし日のじいちゃんの様子と、きっちりハッキリと喋る。
斎場で親族で軽めの会食、祖母と父と兄が斎場に泊まって残りメンバーは帰宅。シンゴジラやってるけど見ない。

 

 

★Day 5

葬式。朝早いから不安だったけど起きれた、やればできるじゃん。
喪主である父のスピーチは、さすがに声をつまらせていた。昨日だいぶ気丈に振る舞ってたんだなあと思う。
バス、タクシー、霊柩車で火葬場に向かう。火葬場ではさすがに泣けた。お別れのタイミングってたくさんあって、入院したとき、もう喋れなくなったとき、ご臨終を告げられた時、お棺に入るとき、いろいろあったけど、最後の最後の本当のお別れって肉体が燃えるタイミングかもしれない。
そんで斎場に戻ったらすぐ初七日法要をやってしまう。この地域だけかなあ。それにしても効率厨だよなあ。終わったら、親族で会食。献杯。食べれるものが全然ない私は食わず嫌いを早急にどうにかすべきだと思う。恥ずかしい。
時間がきたので火葬場にまた戻って、骨になったじいちゃんとご対面。そして納骨。焼け残った全部の骨を納める。母の実家のほうでは部分納骨で、骨壷に入りきらない骨は処分しちゃう流れだったはず。まず骨壷小さかったし。地域差、おもしろい。

帰宅したら、またお寺さんが来てくださって、お経をあげてもらう。そしてお寺さん帰って………

やーっとひと息……!かと思いきや、すぐに香典開きを開始。結構ある、ありがたいことに結構あるぞ香典。

「さゆりのパソコンって使える?」「一応。OSはvistaやけど」「とりあえずExcel使えりゃいいから」「なるほど!」
SEの兄、さすがです。香典の通し番号、名前、所属もしくは住所、金額を表にしてあっという間にまとめてしまう。
「あーークソっクソ」「ごめん、vistaちゃんに文句は言わんであげて」「違う、IMEに文句言うとる」「何それ」「変換のやつよ。侑って字ユウで変換出てこんとかさ」「あ、その字アツムで変換したら出るよ」「お!出た!」

通し番号31番のがない!探せー!(探す)ない!なんで?「いや、ここの受付してくださったんうちの班(うちの地区には地区内でさらに班という単位があり、回覧板は班ごとに回すし通夜葬儀の受付を手伝ったりし合う)のじじばばだから、ちょっとボケて書き飛ばしたがやろ」

「職場関係」「終わった」「地区」「終わった」「親族・一般」「終わったー!」
「こっちもExcelの入力全部終わっとるよ」「おおさすが」「じゃあ次は?」「手書きのやつと入力したのやつ一応読み合わせせんといけんくない?」「印刷印刷ー」「何言っとんがけ今うちプリンタ死んどんにけ」「俺明日職場で刷ってくるわ」「え〜〜今日中に終わらせときたい〜〜〜〜」「セブンで刷れるよ?PDFにすれば」「マジか」「PDFにしたやつを、USBに入れてコピー機に持ってくがよ。あたしプリンタ壊れてから大学のレポートいつもセブンで刷っとったもん」「じゃあ今からチャチャっとセブン行ってくっかー」

「ほらここに、USBとかいろいろ、さすとこあるやろ?」「へーーーー。便利やな」ウィーンガーーウィーンガーーウィーンガーー
「あ、めっちゃあんにけ蒙古タンメンのやつ。何個買ってく?」「4つくらい?」ヒョイヒョイヒョイ「あとねなんかチーズ入れたらめちゃおいしいらしい」
「あと今日なにげに月曜だからジャンプも!おおラス1やん!」
「もうひと頑張りだからみんな食べる用にじゃがりこ1コ買ってこ」「いやいやいや肉じゃが味はダメやろ(精進料理的な意味で)」「まじだwwwwwwww」サラダ味をチョイス

「95番、5千」はい。「96番、5千。」はい。「97番、3千。」はい。「終わり!」終わりー!
「職場関係終わり」「地区のも。親族・一般のも終わった!」ヤッター!
「とりあえず今こっでいいで、あんたらごはん食べてこられ。ごはんと納豆くらいあろう」「母さんたちは?」「もうちょっとだで、あとは上のもんだけでやっとくちゃ」「お願いシャス」

「あ、さっき買った蒙古タンメン食べるか」「あれって肉入っとるかなあ」「入っとらんよ。こないだ夜勤の前コンビニで肉魚入ってないもん探してみたらねーそれは乾燥肉?っぽいやつは入っとらんっぽい」「「おお………」」
兄と私で蒙古タンメン中本カップ麺、いただく。メイン遺族が葬式の夜に食べるものとしては……まあいいか。
「チーズ入れたん、どうけ?」
「めっちゃヤバイ」

(蒙古タンメンってこんなに辛いんだ………)

 

 

 

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メイン遺族は大変だったという覚え書き。今回は、人が死ぬことについて、ソフト面よりハード面についてばっかりずっと考えた。
今日が9日目、やっとめちゃくちゃ泣いた。
これからじわじわと、悲しいとかさみしいとかが迫ってくるんだろうと思う。それはそれとして溺れてもいい。
四十九日までは気を引き締めていくぞ