無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

私の強迫性障害

トイレで、確かにおしっこを出し切った。でもまだ出る気がする。そして膀胱と尿道に意識を集中させると、まだ残っていたぶんが出る。それでもまだ出る気がする。実際に出る。私はこれを出し切らなければならない。その繰り返しで、トイレからなかなか出られない。

髪型を整えるために鏡を見る。するとチラッと白髪が見えた。抜かなければいけない。今こいつを見逃したら次いつ見つかるかわからない。だから今このタイミング抜かなければならない。そうして頭髪をじっくり見ていると別の白髪も見つかる。それらも、今抜かなければ次いつ見つかるかわからないので、今抜かなければならない。

同様に、頭の髪の毛をさわっていたらチリチリになった髪の毛を手触りで発見した。抜きたい。抜かなければならない。「それだけが違う、それだけが異質」ということは、それを排除しなければならない。抜かなければならない。

朝8時に目が覚める。昨日眠りに就いたのはおそらく4時頃だ。4時間しか眠れていない。このことがどうしようもなく恐ろしい。人と会っている大事な場面で居眠りでもしてしまったらどうしよう。授業中に居眠りをして先生に怒られたらなんて恥ずかしいんだろう。バイト中にうっかり居眠りしてしまったらクビになるかもしれない。だから私は外に出ることを選ばずに家で眠ることにする。人との約束は体調が悪いといってドタキャンする。授業はサボる。バイトは休む。

朝9時に目が覚める。待ち合わせは9時半。友人はとても化粧が上手いしイケイケ系だ。私は化粧がそこまで上手くなく、時間がそこそこかかる。しかし友人の隣を歩くにはきちんと化粧をしなければならない。必ずそうでなくてはならない。それなのに寝坊をしてしまって、化粧を完璧にする時間がない。間に合わない。もういっそすべてが面倒になる。私は友人に電話をして「ごめん、体調が悪くなった」と嘘をつく。

大学の授業のレポートを書く。完成する。これを提出すればいい。提出期限がギリギリでも、とりあえずの誂え物でも、これを提出すればいい。しかし、果たしてこれで本当にいいのか?ともう1人の自分が問いかけ始める。こんなもの提出していいのか?と。締め切りまでにレポートを書き直す時間はない。しかしこのレポートをどうしても提出してはいけない気がする。そうしてそのレポートはお蔵入りになり、その授業の単位を落とす。

ほうれん草をゆでる。根っこはよく洗ったはずだが、土や砂が出てくるのが不安で何度も何度も洗う。強く扱っても出てこなくなるまで。

トイレから出る。手を洗う。それでもまだ汚い気がするので、水を止めてからもう一度、手を洗う。それでやっと気が済む。