無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

閉鎖病棟に入院してきた

先月うまれてはじめて「閉鎖病棟」に入院してきたときのことを、いろいろ忘れないうちに書き残しておきます。結論からいうと二度と行きたくないです。

 

 

【あらすじ】


当方20代女性。もともと強迫性障害を長年患っていて、それがこじれにこじれた結果、アルコールや薬の乱用および依存につながってしまった。およそ1か月かけて状況は急激に悪化し、もうダメだと見かねた主治医と家族と本人(私)の相談により入院が決定。入るのが閉鎖病棟だということを事前に聞かされていなかったため、いざ入院する病院を訪ねた当日その事実をはじめて知り、その時ようやく、心から「帰りたい」と思ったのであった。続く

 

 

閉鎖病棟のルール】

 

・持ち込んではいけないものがあり、入院時や病棟から出入りする際に荷物をくまなくチェックされる。ペンケースの中まで確認された。具体的には
危険物(カミソリやハサミやカッターなどの刃物、爪切り、針、ライター、ガラス製品、鏡など)。
電化製品(携帯、パソコン、ゲーム機、ドライヤーなど)。

・そう、携帯パソコンは持ち込み禁止。

・持ち込むコップはプラスチック製という指定がある。

・現金は、自分で管理するのが難しい場合は病院側で管理してくれる。

・外出するには事前に主治医の許可が必要。

・病院内の売店に行くときは、病棟から出ることになるため、看護師さんが必ず1人同伴していなければならない。

 


【施設について】

 

・病棟のベッドは60床だった。

・病棟の出入り口は1か所で、扉が二重になっている。もちろんどちらも鍵がかかっていて、職員さんのIDカードでタッチしない限り開かない。

・病室の窓は15cmしか開かない。

・基本的には4人部屋。2人部屋、1人部屋もあるけど別途でちょっと料金がかかる。

・病室には、それぞれにベッド、机と椅子、鍵付きの棚と引き出しがあるだけ。普通の病棟のように個々人のテレビや冷蔵庫などはない。

・食堂兼談話室にお茶のポットがあり、自由に飲める。一応飲み物の自販機も1台ある。冷たいものが飲みたいときは自販機で買うしかない。

・携帯もパソコンも持ち込み禁止で、連絡手段として病棟内に公衆電話が1台だけある。

 


【1日の流れ】

 

6:00 起床。
7:20 朝食。
8:30 検温。
9:30〜 入浴。
11:30 昼食。
13:30 ラジオ体操。
17:30 夕食。
20:30 就寝前の薬の配布。
21:00 消灯。

 

6:00 起床
「おはようございまーす」と強制的に病室の電気がつけられる。私は大体このタイミングで目が覚めてたけど、早起きの患者はそれよりも前から廊下を徘徊してたりする。でも私は実際は朝食まで二度寝して朝食後に歯みがきと洗顔してた……

 

7:20 朝食
食堂 兼 談話室 のような場所があり、食事はそこで1人ずつのトレーが配られる。食堂で食べても病室に持ち帰って食べても良い。広くて明るいから私は食堂で食べてた(席数に限りがあるためどうしても他患者と相席テーブルになるけど)。すべてのトレーにはそれぞれ患者のネームプレートが乗っていて、取りに来なかったらバレる。メニューは基本的にはみんな同じだけど、アレルギーがある患者や高齢者で柔らかいものしか食べられない患者はちゃんとそういう仕様になっている。
基本的にあんまりおいしくないので箸が進まない。私はチェックされてなかったけど、食事や栄養状態に問題のある患者(たぶん摂食障害の患者さんとか)はどれだけ食べたかを毎回看護師さんに記録されてたみたい。
食後の薬がある患者は受け取って飲む。

 

8:30 検温
病室に看護師さんが2〜3人でやってきて、健康状態の確認。体温はかって、脈もはかって、血圧はかるひとは血圧はかる。
昨日のトイレの回数を大小それぞれ聞かれる。調子はどうか、何か不安なことはないか、なども聞かれる。

 

9:30〜 入浴
お風呂は曜日固定で週に3回。あんまり広くはないけど病棟内に浴室がある。シャワーは5か所で、一応つかる湯船もある。順番がきたら看護師さんが呼びにきてくれるので、順番に入浴。介助が必要なおばあちゃんもいるから、脱衣所にはスタッフさんが常に誰かしらいる。

 

11:30 昼食
朝と同じ。

 

13:30 ラジオ体操
毎日ある。自由参加。ピンポーンと放送が流れて「ラジオ体操をします。よければご参加ください」と。看護師さんがラジカセを持ってきて、廊下でCDを爆音で流して、みんな廊下で体操する。私は1回だけ参加したけど、参加率はどう見ても半分未満。

 

17:30 夕食
食堂のテレビ(チャンネル争いを避けるため2台ある)はどちらも夕方のニュース。

 

20:30 就寝前の薬の配布
ナースステーション前で、就寝前服用の薬が配られる。もちろん就寝前の薬がない患者もいる。患者がお茶の入ったコップを持って並び、順番に看護師さんから受け取って飲む。たぶん眠剤とかが多いんだと思う。私は薬のタイミングは就寝前だけだから、忘れずに並んで受け取って飲む。

 

21:00 消灯
「おやすみなさーい」と強制的に病室の電気が消される。一応ここで1日は終わり。
しかし消灯後も眠れない患者はナースステーションに行って不眠時の頓服薬をもらったりする(そういうことはザラみたい)。私は入院初日だけはなかなか眠れなくて、見回りにきた看護師さんが察してくれて頓服くれた。

 

これ以外の時間は基本的に何をしてても自由。ただ、治療のプログラムとして「作業療法(手芸とかしてるらしい)」や「アルコール教室(アル中の患者向けの何かだと思う)」なんかがあって、それに参加してる患者も多い。あとは先生の診察があったり、ソーシャルワーカーさんや心理士さんと面談したり。
あと、曜日固定で食堂で自由参加のレクリエーションみたいなやつがあって、カラオケ大会の日もあればDVD鑑賞の日もあった。

1日の流れだけ見てみると普通の病棟とあんまり変わらなそうな感じがするかも……

 


【患者】

 

とりあえず中年〜高齢者が多かった。若い人が結構いると思ってたからびっくりした。10代20代なんて全然いなかった。
私のいた病棟は、基本的には危害をくわえてきたりする患者はいない。そういうマジのヤバ患者は多分また別の病棟にいる。でも、危害は加えてこないでも、やたらひとりごとが多かったりテンションがおかしい気味の人間はゴロゴロいる。
具体的には(少しフェイク入れてます)、

・歩数を声に出して数えながらずっと病棟の廊下を往復し続けている少年
・廊下に座り込んで音楽プレーヤーでコブクロを聴きながら歌ってるばあちゃん
・毎晩必ず廊下で寝ようと試みるじいちゃん
・一日中洗面所の鏡の前に立ってる女性
・毎日ナースステーション前で「リスパダール(頓服の安定剤)ちょうだい!ねえ!ちょうだい!」って大声出してたおばちゃん

他にも、うまく言葉にできないんだけど「なんか様子がおかしい」という人がたくさんいた。うまく言葉にできないおかしさ。患者さん見ててそれがいちばん奇妙だった。もちろん、そうでない人もいた。はたから見て「一体この人はどこが悪くてここに入院しているんだろう?全然普通じゃん」と思うような患者さんもたくさんいた。まあ、はたから見てわからないようなところが調子悪いから入院してるんだろうけど…
先生いわく、みんな大体3か月以内には退院していくけど、長いと半年以上ずっと入院してる患者もいるらしい。
あと患者どうしで仲のいいグループみたいなのもあるように見えた。食堂でトランプとかオセロとかしてた。私は心の余裕なかったし友達などは特にできなかった。

 


【私個人の感想など】

 

・入院の形態(?)には大きくわけて2種類あって、患者自身が同意のうえ入院するor患者の意思関係なく強制的に入院になる のどちらかで、今回の私は前者。
・で、私のいた病棟は、その割合は6:4らしい。つまり4割の患者さんは強制入院でそこにいたということ。
・環境の変化に弱いタチだから、入院して3日くらいは「急にこんなところに飛び込んでしまって呆然」って感じで過ぎてった。わけがわからないまま呆然としてたら3日過ぎてた。
・3日経って慣れてきたら、あとはもう「帰りたい」の一心だった。ひたすらそれ。
・もちろん4人部屋だった。たまたま同室はひとりごとが多い人たちだったから最初はめちゃくちゃ怖かった。
作業療法など各種プログラムに一切参加していなかったため、時間がとにかく有り余っていた。基本的に読書をしていた。
・あと音楽プレーヤーは持ち込みOKだったから、とにかく読書と音楽にすがりついて正気を保ってた。
・入院の原因となった酒&薬物をキッパリ絶ったことよる幻覚や幻聴や禁断症状などは特に出なかった。
・病棟から自由に出られないから、やっぱり「閉じ込められている」という感覚が強く、どうしても払拭できなかった。
・ごはんがあんまり美味しくなかったからほぼ毎食残してたら少し痩せた。(ヤッター)
・どんなに歩き回っても同じ景色しか見えないのが一番しんどかった。せめて病棟を出て病院内や敷地内を散歩できたらいいのに。
・孤独感が強かった。公衆電話あるとはいえ携帯もパソコンも奪われると、普段どれだけ通信端末に依存してるかがわかった。
・とりあえず入院してれば心身に何かあってもすぐに対応できるから、薬を変えたりいろいろ試してみたりできる。その点は通院治療では無理だし、入院して良かった。

 

やっぱり「閉じ込められている」という認識がどうしても払拭できなくて、漠然と「ずっとここにいたら気が狂う」と思った。実際ちょっと狂いかけた。ちなみに主治医の先生に「ここにいると頭がおかしくなりそうで怖い。早く家に帰りたい」と伝えると「そう思うのが普通だから大丈夫」と言われた。
でも、ここにいる人たちは、もしかすると 外の世界にいるほうが頭が狂いそうになるからここにきたのかもしれない と思った。閉鎖病棟ってそもそもそういう人たちのための施設かも。
もっと、鉄格子だとか鍵のかかった病室だとかそういう暗くて怖い刑務所みたいなのを想像してたけど、思ったより明るくて風通しの良いところだった。


でも、二度と行きたくない……