無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

最近読んだ本まとめ

2019年1月と2月あわせて40冊くらい読んで、その中で特に印象的だったやつ12冊です。どうぞ!

 

◆ 牛を屠る / 佐川光晴

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作家の佐川光晴氏の、作家になるまで屠殺場で働いていた時代のエッセイ。牛やら豚やらを解体していたそうです。ひょんなことから知って手にとってみた。普段ほとんど触れることのない「屠殺」について丁寧に書かれていた。あんまり生命倫理とかに言及してなくて重くないし、淡々と読めた。命を食べているというのはもちろんなんだけど、というよりはむしろ、屠殺場の職員のお給料事情や結婚事情について書かれてて、それが面白かったな。働くっていうのは大変なことなんだなあ思わされます。いつもおいしいお肉を食べられるのはこの人たちのおかげ、ありがとうございます。

 

◆ 消滅世界 / 村田沙耶香

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千葉県がアレになる。ち、千葉ーーーーッ!!!!!

殺人出産も読んだけど、この人の発想ほんと狂っててすき~~~。言うて、その2冊だけかな?

 

人間仮免中 / 卯月妙子

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マジスゲエとんでもないマンガ。なんだこれ、やばい。すごい。なにがすごいのかというと、とにかく主人公が必死に生きている。本当に必死に生きてる。死の淵まで行ったり来たり、なんとかこちら側に踏みとどまってる。元アダルト女優、舞台役者、そして統合失調症からの幻覚幻聴、自殺未遂、手術、片目失明……それでもそれでも好きな人と生きていく。あ~~~~。これはメンヘラうんぬんとかではなく純粋な人間賛歌だ。とっても勇気をもらえた。あまりにも感激しすぎて、本屋で買って「これ読んでくれ」つって統合失調症の友人にムリヤリ贈った。笑 どうやら「人間仮免中 つづき」もあるらしい。読みたい。

 

◆ 遮光 / 中村文則

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暗い。最高。暗い。タイトルの通りジメジメしている。最高。これだよこれ。こういうのもっとくれ。わたしも好きな人死んだら身体の一部を切り取って持ち歩きたい、…かも、しれない

 

◆ 苦汁100% / 尾崎世界観

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クリープハイプ尾崎世界観の、日記?みたいなやつ。売れ始めたバンドのリアルがありありと描かれている。過去、創作、友人、睡眠時間、嫉妬、自尊心、人気、批判、評価、隔靴掻痒………。妬みや悪口やファンに対する怒り、いろいろ書かれてるけど。それでもやっぱりどこか幸せそうに感じるのは、バンドというものを謳歌してるのが伝わってくるからだろう。売れ行きとかファン層がどうこうとかより、そもそもこの人はバンドが大好きなんだなあと思う。楽しそうだなあ、バンド。これ読んで尾崎世界観のこと好きにならないってほうが無理。小説「祐介」も読んだけど、総じて、この人絶対メチャいい人やんけと思ってしまう。いい人というか、一瞬でも「あ、この人、自分みたい」って思わされるというか。ひねくれてて、斜に構えてて、ちょっとめんどくさいとこもある。けど、いろんな人に愛されずにはいられないような。尾崎世界観。メチャクチャいい人やんけ。と思った。

 

◆ アル中ワンダーランド / まんしゅうきつこ

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アルコール依存症に関連する本を手当たり次第に読んでいて、その流れで手に取ったこれ。いや~~~~~~本当に最高。図書館で借りたんだけど、何回も何回も読み返したし本屋で買うわ。トークショーでおっぱい出すところが本当に最高。クリスタル音叉でチンチンやってたらオウム真理教の残党って近所に思われてるとこも最高。巻末の対談も最高。わかる~~~の連続。「お前酒飲んでるだろ」「ちょっとね…(大量に飲んでる)」絵柄とかエピソードが、アル中というものの深刻さをちっとも感じさせない。めちゃくちゃ面白かった!ちなみに最近まんしゅうきつこさんは「まんきつ」に改名なさったそうですね。

 

◆ 極悪鳥になる夢を見る / 貴志祐介

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出ました!遅筆!ハゲ!俺たちの貴志祐介!(悪口すみません)(新作を心待ちにしています)エッセイが出てること知らなかったので読みました。悪の教典新世界より鍵のかかった部屋、黒い家などなどミステリーSFホラーを手掛ける人物の生活はさぞかしサイコパス……と思って読んでみたら普通のおもろいオッサンでほっこり。創作に関連するエッセイはやっぱり独特の視点を感じるし、早口言葉の分析とオリジナル創作は頭の良さしか感じないし、怖い絵のレビューも面白い。奥さまと川下り。そして阪神ファン。前述の尾崎世界観はヤクルトファンらしいけど、みんな贔屓の球団があるんかねえ。いちばん笑ったのは、小説の殺人ネタのためにスーパーで鶏肉買って電流を流す実験をしたやつ。愛情が皆無の料理はちっとも美味しくないんだ!という。

 

◆ 銃 / 中村文則

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今、超ハマっている中村文則様のデビュー作です。1ページ目から「村上春樹やんwwwwwwwwwwwww」となってしまった文体(わたしは村上春樹の小説を読まないのでよく知らんけど)。最後の2ページだけメチャクチャ面白かった。本当に。

 

◆ 遺体―震災、津波の果てに / 石井光太

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パクったパクられたで炎上した某件のやつ。読んでみた。あの震災で、『暗躍していた人々』に焦点をあてるノンフィクションでした。 さらに別の場所でも『暗躍』している人々がいたんだろうと思い馳せずにはいられなくなる

 

◆ 私が食べた本 / 村田沙耶香

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西荻窪の本屋で衝動買い。人の書評を読むのが大好きだから、ノリノリで読んだ。読後は付箋だらけ。村田さんの作品をすべて読んでいるわけではないけど、本への愛を通して彼女の「人となり」がとても伝わる1冊だった。 この本で紹介されてる本を読んでいくのが今の楽しみでもある!

 

惑いの森 / 中村文則

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中村文則様ですね。前に「A」という短編集を読んで「????」という感じだったから、「ああ、この人の本はきっと長編しか面白くないのだな(その後他の長編が面白かったので)……」と思ってた。これはどうかというと、とても面白かったです。掌編っていいね。古川日出男の「gift」もだけどなんか鞄に入れて持ち歩きたくなるし、お気に入りのひとつが見つかるし。すぐ読めるし。N氏の裁判くっそわろた。

 

◆ ルビンの壺が割れた / 宿野かほる

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なんか超バズってんなーーーーこの本。と思ってたら読む機会に恵まれ、読みました。短いから、1時間あれば読めちゃうところがいい。最後の1行だけズドーン!て感じがいい。1時間で手軽にエンタメ。こういうの好き。マクドナルドみたいな感じ。でも読み返すとゾッとする点がいくつもあるという。すごいね。覆面作家さんだってさ