無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

就職したい(第3話)

私はいわゆるフリーターというやつで、働いていないあいだの時間は好きなことをやっていた。それは私の場合、音楽ライブ活動が主だ。都内のライブハウスやライブバーで精力的にライブをやっていた。音楽をやっている私の人生にとって、メインは働いているほうの時間よりも働いていないほうの時間だった。ライブ活動をやることこそが生きがいで、その他の時間は生活費を得るための消化試合だ。

就職するってことは、すべての最優先事項が仕事になるってことだ。そうなると、自分にとっての【やりたいこと】が全然できなくなってしまうんではないかという不安があった。だからシフト制でスケジュールもギリギリ待ってもらえて、責任もない、バイトとして生きる。実際ライブ活動を精力的に続けている人はシフトの融通がきくタイプの働き方をしている人が多い。

しかし、私の場合、あまりにも稼げていない。時給制で働いてると、もし体調悪い日なんかに欠勤したらもうそのぶんの給与はない。だから、月収制で働けるところへ就職して手堅くお金を稼いだほうが逆に今よりずっとすこやかに暮らせるのではないかと考え至った。

だって、気がつくといつもお金のことばかり考えて暮らしているから。私だって駅ビルでワンピースとか買いたいし、遠くに住んでる友だちの結婚式にも出席したいし、デパコスもほしい。富山への帰省も夜行バスじゃなくて新幹線でパッと行き来したい。街でひとやすみする時はマックじゃなくてスタバとかドトールに入りたい。新しいアコギ、憧れのギブソンハミングバードだって、就職してはじめて現実的になってくる。私いつまでこんなにお金ない生活なんだろ、死ぬまでこんな生活がずっと続くんじゃないか。とか考えてしまっていた。

お金は、あるほうがいい。ないよりは、あるほうがいいに決まってる。

 

さて、就職したいorしたくないとは別次元の問題で「はたして私は就職できるのか?」という問題がある。これに関してのアンサーは明白で「無理」だ。今の心身で社会の荒波を渡っていくことは不可能と思われる。自信がない。しかし、なんと、「無理」を「いけるかも」に変えるためのアイテムがあるという。

 

ずばり障害者手帳である。

 

 

第4話に続く