無限ワンアップ・改

さゆゆのメモ箱

0924 スマブラ

君はスマブラをやりながら「死ね」と何度も口にする。わたしは君が怖くなる。「死ね」といいながら敵を殴り、吹き飛ばし、ステージから蹴落とす。君は「死ね」と言いながらとても楽しそうにしている。わたしは君が怖い。君は普段「死ね」なんて絶対に絶対に言わないけど、スマブラをやっているときは「死ね」と何度も口にする。息をするように、「死ね」とか「死んだ」とか言う。蹴落とされて死なされたキャラクターは、また復活する。でも、何度も死なされたら、もう復活しない。わたしは、テレビゲーム全然やらないけど、さすがにスマブラはやったことがある。もちろん下手。だから、上手な人たちにすぐ死なされてしまう側。君とスマブラをやったこともない。

今まで、君がわたしに手をあげたことはない。けんかをしたときや機嫌が良くないとき、口調が荒くなったりモノに八つ当たりすることはあっても、わたしに手をあげたことは一度もない。死ねと言い合ったこともない。君はすっごくやさしいから、わたし以外の誰かや、ペットの小動物なんかや、もしかすると害虫にさえも、死ねと言うことはないかもしれない。でもスマブラをしているときは、何度も何度も言う。わたしは、君にボコボコに殴られているキャラに、自分を投影して、見る。あんなふうにされたことはない。怖くなる。自分はなんていやらしく下卑ていて、いけないことを考えているんだろう。

テレビゲームで、「死ね」というのは、本当に死んでしまえという意味ではなく、概念としての「死ね」なんだ。そう、いわば「やっつけろ!」くらいのニュアンスだ。深い意味はない。そんなことは余裕でわかる。でも、死ねという言葉にはなんとなく、恐怖をおぼえる。君の真意もわからない。だから何も言えないで、横で見ている。死ねと言いながらオンラインの向こう側の誰かを蹴落とす君のこと、黙って見ている…